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房総の伊勢神宮「天津神明宮」の御膝元。式年鳥居を受け継ぐ人々のお祭り~天津祭礼~

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こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。

 

伊勢神宮といえば、三重県伊勢市にある伊勢神宮が本家本元。

 

でも、南房総にも「房総の伊勢」といわれる神社が存在します。

その歴史は鎌倉時代にまで遡り、全国的にも数少ない式年遷宮ならぬ、式年鳥居を行っている神社でもあります。

 

この式年鳥居を受け持つ地区での例祭が「天津祭礼」です。

 

伝統と格式を受け継ぐ人たちのお祭りってどんなものなんでしょう。

 

早速詳細をご紹介!

天津祭礼について

「天津(あまつ)」地区は、山がちな地域で田畑に適したところではなかっため、昔から漁業が盛んでした。

 

実際に漁業が盛んになり始めたのは江戸時代初期で、紀伊の国から漁民が移住し、イワシ漁をはじめてからといわれています。

 

鎌倉時代に入ると、房総の伊勢といわれる「天津神明宮」、日蓮上人の生誕地でもあることから、仏教・神道に深い崇敬のある地域。

 

「天津祭礼」は、こうした宗教色の濃い地域でのお祭りで、毎年7月の末の金土日の3日間(前は7月26日~28日)開催されています。

 

天津神明宮の御膝元として、式年鳥居を支える人たちですが、毎年のこの祭礼は天津の総社である須賀神社を主催とします。


このお祭りの最大の特徴は、笹万燈(笹万灯(ささまんど))。

 

天津地区独特の小型の屋台で、人は乗らず太鼓のみをのせ曳き回す余興物。

小型の屋台といってもあなどるなかれ、細部まで彫刻が彫られとっても芸術性にとんだもの。

それに取り付けられたたくさんの提灯に灯される姿は美しいです。

 

「万灯」とはもとは四角い木枠に紙を貼り、その中に灯火をともして担いだり曳き回したりするもので、万灯は「多くの火」「明るく灯す」を意味します。

 

天津地区ではこれを小型の屋台としたため、それを提灯で飾り「万灯」としたようです。

この上部に笹を掲げることから「笹万灯」といわれるよう。

 

これを船(現在は漁船に笹を掲げ船上お囃子を行う)にした万灯もあり、天津地区は余興物の面白い地区です。

※船万灯は海の状態によっても出祭しないこともあります。

 

それに須賀神社(総社)の大御輿が出祭。

 

須賀神社の大神輿は千葉県内3番目の大きさとで、大変大きく動きの制御が難しいため暴れ神輿としても知られています。

戦後地元の大工によって製作。

 

さらに特徴的なのは、この大神輿を町内8つの地区で交替で担ぐというところ。

各地区の6台の笹万灯とこの大神輿の競演は見どころです。

 

初日金曜日が宵宮に笹万灯が須賀神社下に集合し、土・日が本祭。

土曜に宮出し神事、日曜最終日に御社入れが行われます。

 

子供神輿も出祭し、大人から子供まで老若男女皆が参加できる祭礼。

独特の笹万灯の彫刻は見ものの一つ。


参加地区は、芝町、城浜(城戸・浜)、新町、谷町、仲橋(仲宿・橋本)、引土の6地区(大神輿渡御は()も含む計8地区)です。

山車・神輿等をご紹介

芝町

芝町はJR安房天津駅周辺の区。

芝町の集会所が駅と一体化しており、お祭りに時期になるとお囃子の練習が始まり、その音色が駅舎に響き渡ります。

 

天津地区で初の笹万燈を製作。

初代後藤義徳の彫刻が彫られています。

 

以前は神功皇后を乗せる山車でしたが、昭和32年に解体し、不定期ですが天津神明宮式年木曳祭などの神事やイベントなどで展示されることがあります。

車輪はなくお囃子台として登場。

城浜(城戸+浜)

城浜は城戸(きど)と浜の二つの地区が合わさった区で、鴨川から見ると天津漁港手前あたりになります。

 

以前は神武天皇を乗せた山車をもっていましたが、現在は船万燈を出祭させています。

稲垣祥三と川股三喜男による彫刻が彫られています。先代の山車は館山市東藤から購入したと言われています。

f:id:oragamatiko:20180801153116j:plain館山市東藤の祭礼

新町

新町は神明川沿いの地区になります。

 

笹万燈を所有していますが、以前は屋台だったそうです。

屋台にあった初代・後藤義徳の彫刻を再利用(脇障子や懸魚など)し、現在万燈に飾っています。

谷町

谷町は天津漁港東側の地区です。

 

笹万燈を出祭させます。

平成に入って川股三喜男による製作されました。

仲橋(仲宿+橋本)

仲橋は仲宿と橋本の2地区の集合で、天津漁港を中心にある地区になります。

 

笹万燈を所有しています。

川股三喜男が平成入って作ったものです。

引土

引土(ひきつち)は、二多間川(ふたまがわ)沿いの地区です。

天津地区でもっとも西側になります。

 

笹万燈を出祭させています。

 

< 参考文献・サイト >

式年鳥居ってなに?

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「式年鳥居」という言葉はあまり聞きなれませんが、「式年遷宮(しきねんせんぐう)」はよく知っていますよね。

 

「式年遷宮」は、伊勢神宮や出雲大社などで行われる定期的に本殿の建て替えを行う神事のこと。

やっているところが伊勢神宮や出雲大社などの有名どころなので、そこばかり目立ってしまいますが、実は日本全国結構色々なところでやっていたりします。

 

南房総では天津神明宮がその代表。

 

式年遷宮は本殿の建て替えですが、天津神明宮では式年鳥居、つまり、鳥居を定期的に替える神事になります。

 

天津の人にとっては20年に一度の大イベント。

前回は平成27年だったので、次回はこの20年後。

 

現在は式年鳥居という形をとっていますが、天津神明宮でも伊勢神宮と同様に社殿の建て替えを行っていたそうです。

でも、この建て替えは基本氏子の負担。

毎回建て替えるのは負担が大きいということから、今は鳥居のみになりました。

 

天津神明宮のように「遷宮」っていろんな形があります。

 

鳥居の建て替えをする場合や、装飾品(金具や調度品など)の修復や補修、屋根の葺き替えなも、総称して「遷宮」ということも。

 

どうしてそうなったのか、理由は様々。

資金調達が困難、国宝などに指定された*1、木材が見つからないなどなど。

 

社殿を丸々建て替えるのは今では数えるほどで、その代表が伊勢神宮というわけです。

 

昔はみんな社殿ごと建て替えるのが当たり前。

 

この遷宮、定期的に立て替えるから「式年遷宮」といい、不定期であればただの「遷宮」、ちなみに建物建て替えないで中の神様だけ移動すると「遷座(せんざ)」といいます。

 

今の時代の人からすれば20年(期間は30年や60年など)に一度に立て替えるなんてめんどくさい、って思うかもしれません。

なんてったて、伊勢神宮の式年遷宮には550億円もかかるらしいです!

 

すごいお金までかけて一体なんのために?とすら思いますよね。

 

  1. 氏子の信仰心の再確認のため
  2. 建物の老朽化を防ぐため
  3. 神道の永遠性を追求したため
  4. 常に新しいものであることが神道の教え
  5. 建築様式の保存

 

などのために行われているとされていますが、最大の理由は5の建築様式の保存=宮大工の育成とされてます。

 

老朽化が「穢れ」を象徴するとされているのに、伊勢神宮の古材は他の神社の遷宮にも使用されたりします。

そもそも20年でそんなに廃れるか謎ですよね。

 

永遠性や信仰心のためともされますが、氏子たちにそれを強要するすることは出来ません。

新しいものがいいというのはなんとなくわかります。

日本人って「新しもん好き」じゃないですか?

これ神道の教えです。

こう考えると1~4って結構曖昧なもので、唯一明確なのは5なんですよね。

 

その証拠に建て替えるスパンが短いです。

20、30、60年が大体どこでも当てはまる年数で、この年数何かピンときませんか?

最大で60年ってのが多い。

 

これ、人が生きている年数です。

 

つまり、宮大工さんが一生のうちに絶対に1回は経験できるように計算されているんです。

 

そして、経験したものを次の担い手に継承する期間まで考えられている。

 

式年(定期的という意味)なら、別にキリよく100年に1回とかもっと長期的なスパンでもいいはずです。

神社の建築物なんて、天変地異でもなければ早々壊れるものではありません。

でもそれをしなかったのは、維持継承っていうのに重きを置いていいたからだと考えられているからなんです。

 

当然定期的に行われれば、そこから氏子たちの信仰心の再確認も出来ます。

新しくもなり、老朽化による穢れも祓えます。

これが繰り返されれば永遠性も再現出来ます。

それには社殿がなければ始まらないわけです。

 

一石何鳥にもなりますね。

 

1~5の中でどれが一番重要なのかと問われれば5だと思いますが、他の1~4にもちゃんとした理由があります。

優先順位はありませんが、どれもがどれもに影響を与えるものであるのは間違いありません。

 

このように遷宮による神社の維持には、深い意味があります。

 

現在社殿建て替えが行われなくなっている神社は増加中。

放置神社も増加中。

 

ほぼ理由は2つ。

 

お金と木材の調達です。

 

なにするにしても、お金かかって高いんですよね。

適したサイズの木材がないんですよね。

 

興味を持たれた方は、遷宮のためご浄財(寄付金のこと)にご協力下さい(ちなみに私は天津神明宮の人間ではありません(笑))。

文化財的観点からも重要な行事だと思います。

 

また、木の育成者にもなってみるってのはどうでしょう?

実は今林業関係の仕事に就かれる方の人口が激減しています。

木は山に勝手に生えていれば育つわけではなく、ちゃんと育ててあげる必要があります。

 

間接的に文化財を守る仕事が出来ます。

 

個人的には大変面白い職業だと思います。

 

f:id:oragamatiko:20180801153116j:plain木材のお話

弱小文化財を応援する人間としては、この木ってとっても大事。

 

おせっかいな話しですが、誰かがやらないとやっぱり残らないのが「文化」。

せっかくだから、天津神明宮にきたらご浄財お願いします。

 

天津祭礼はそうした式年遷宮を守るひとたちの粋なお祭りです。

 

伝統を守る人のお祭り、身に来て下さい~

 

 

以上おせっかい「おらがまち」まちこでした。

*1:文化財保護法というものがあって、国宝や重要文化財にしていされたものは、そのものを現状維持する義務が課せられます。大きく変更を行うには文化庁などの許可が必要でとっても大変。