おらがまち

歴史大好きまちこ主催!弱小「文化財」応援ブログ!

甘酒の歴史からひも解く神社との関係と古代からの健康食品としての役割。

こんにちは。

「おらがまち」管理人まちこです。

 

今回は「甘酒」を宣伝して行きます。

 

この「甘酒」とても長い歴史を持っている「文化の財」です。

 

弱小文化財応援ブログとしては応援しないわけにはいきません。

 

これも立派な文化財です。

 

神社の初詣で甘酒がふるまわれるのには理由があるの?

甘酒って、甘粥っていうの?

実は日本酒と同じなの?

などなど。

 

おいしい、栄養満点、実はすごい歴史もある。

 

ではでは早速甘酒の歴史をみていきましょう!

甘酒の歴史

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最初に作ったのは誰?

冒頭にお話ししたように、日本最初のお酒は「天甜酒(あまのたむさけ)」と言われています。

 

これを最初に作ったのは「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」という女神さまです。

 

でも、お酒を造った理由がなんとも悲しい理由なのです。

 

 

日本書紀より

ある日、木花咲耶姫の住む地に瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)という男神様がやって来ます。

木花咲耶姫は大変美しい女性で、瓊瓊杵尊は一目見て好きになりました。

そして二人はすぐに結ばれ、木花咲耶姫は懐妊します。

 

しかし瓊瓊杵尊は「一晩で妊娠するなんてありえない!おれの子じゃない!」と、木花咲耶姫をののしります。

(ひどい男です)

 

そこで木花咲耶姫は「ならば火の中で出産しましょう。あなたの子なら火の中でも無事に生まれてくるでしょう。」と、自ら家に火を放ち、その中で出産をします。

 

まま、無事に出産を終え自らの潔白を証明した木花咲耶姫は、父神である大山津見神(おおやまつみのかみ)とともに子供の出産を祝い、お酒を造ったのでした。

 

ここで、造られたお酒が「天甜酒(あまのたむさけ)」です。

「甘酒」の原型、「日本酒」のはじまりと言われているお酒です。

 

造られた理由はさびしいもんですが、こうして日本で最初のお酒が登場するわけです。

歴史の中の甘酒

と、日本神話の中ではこうした経緯で「甘酒」が登場するのですが、これは書物の中のお話。

しかも、実はお米で作りましたという記述はありません。

 

では歴史学的に見ると、甘酒の起源はどこにあるのでしょうか。

甘酒と日本酒の違い

その前に甘酒と日本酒の関係をざっくり。

簡単にいうと以下のようになります。

 

  1. 米と麹で発酵※酒粕でつくればアルコール入りの甘酒になる
  2. 甘酒が出来る(アルコール成分ほぼなし)
  3. 甘酒に酵母を加え、さらに時間をかけて発酵(アルコール度数が上がる)
  4. ろ過して、清酒が日本酒に、残りが酒粕になる。※ろ過しなければいわゆる「どぶろく」

 

つまり、日本酒の製造過程で必ず甘酒が作られているわです。

なので、日本酒の歴史が甘酒の歴史といってもいいことになります。

 

では、日本酒の記述があるのはいつのころからでしょう。

古代

中国の書物によると1世紀ころには、日本人は酒を飲んでいたという記述があります。

 

その後に書かれた3世紀の史書「魏志倭人伝」にも、お葬式の時に酒を飲む風習があるとかかれておりお酒の存在はわかっています。

また、これは宗教と酒の関係性が伺えるおもしろい一文と言われています。

 

ですが、ここでもお米で作られたという確実な証拠はありません。

 

やがて時を経て古墳時代に入ります。

 

持統3年(689)には国の官職として造酒司(さけのつかさ)が置かれ、お酒は国が管理するようになって行きました。

 

お酒の種類などが書かれた木簡(木の紙)も出土し、少なくともこのころにはお米で出来たお酒があることがわかっています。

また、各地の「風土記」にもお米で作られたと酒という記載も出始めます。

 

そもそもお酒造りは、縄文時代から果実酒のようなものは作られていおり、酒造技術自体はずっと昔から日本人は持っていました。

それが、お米という原料にいつ切り替わったのかは今のところ不明のようです。

 

お酒はアルコールで出来ているので、すぐに気化してしまいます。

果実酒のように発酵した果実が出土したりすればいいのですが、お酒は液体なのでアルコールを土中から発掘して解析することは難しいです。

 

しばらくは解けない謎かもしれませんね。

 

一般的には、稲作が安定して作られるようになってからと言われています。

中世から江戸時代

その後、中世に入ると酒屋さんも出始め、庶民の間にも広まって行きます。

室町時代にはお酒のバリエーションも増え、地方それぞれの地酒も盛んに作られるようになりました。 

 

そして江戸時代に入ると、俳句の季語として江戸の夏の風物詩となり、「甘酒」は単体で登場するようになります。

江戸幕府が国民の健康を守るために、甘酒の価格を設定していたというくらい大々的に飲まれていました。

しかも、健康食品として当時も広く知られていました。

江戸時代も健康ブームがあったんですね。

 

ちなみにものすごく脱線しますが、「赤穂浪士」の吉良邸討ち入りの後、浪士たちは「乳熊屋(ちくまや)」(※現ちくま味噌)に立ち寄りました。

そこで振る舞われたのも甘酒でした。

これは「甘酒粥」と言われ、お粥に甘酒を混ぜたもので、飲むものではなく食べるものに近いものだったようです。

甘酒は疲労回復の効果があることも知られていたんですね。

 

そして現在、再び健康ブームにのって「飲む点滴」として注目を集めるようになりました。

神社の中の甘酒の役割

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お神酒と同じ

では「甘酒」というと「健康食品」と思い浮かべますが、もう一つ「甘酒」というと「神社」を思い出しますよね。

神社の初詣には甘酒は欠かせないアイテムって思うのは私だけではないと思います。

 

寒い日に、わざわざ神社に足を運んでくれた人に暖をとってもらうためにふるまわれている・・・

 

だけではないんです。

 

甘酒は甘くておいしいアルコールがないけど製造過程途中のお酒なだけで、お酒にはかわりありません。

神社のお酒といえば「お神酒(おみき)」ですが、いずれも原料は「お米」です。

 

お米は神様とかかわりの深い穀物ですし、そのお米から作られた甘酒やお神酒は大変神聖なものです。

 

お米は神様がくれた恵みものなので、いまでも収穫されたお米に感謝して、農家の方が甘酒をつくって奉納したりする行事が全国各地で見られます。

 

そのお酒をくばることは、神様とともに新年を祝うこと、神様と一体になることを表しています。

 

古来から日本には、同じものを食すのは相手と一体になるという風習を持っており、その名残ではないかとも考えられます。

 

また、新年に飲む「お屠蘇(おとそ)」も縁起の良いものとして飲まれるお酒ですが、それと同じ意味合いもあります。

 

お屠蘇は薬膳酒なので、飲みづらくアルコールも入っていて、老若男女向きのものではありません。

その点、麹から作られた甘酒は子供でも飲めます。

 

  1. 神様と新年をお祝いする
  2. 神様と一体になる
  3. 暖をとる
  4. 薬用の効果を期待(無病息災を願って)

 

こうした理由から、初詣にふるまわれているんですね。

 

いつから「神社初詣=甘酒」というイメージが出来上がったのかは、残念ながらはっきりわかっていません。

しかし、全国には甘酒をメインとしたお祭りや、甘酒をお供えする神社など様々な形でかかわっているようです。

 

さらに関西では酒粕によるお雑煮もありますが、これも新年に向け神社に奉納した清酒の酒粕で、これで縁起を担いだり、神との共食につながった伝統的な食文化と言えると思います。

 

奥が深い、甘酒です。

神社が作るお酒?

ところでお家で甘酒を作ったことはありますか?

 

実はお酒造りって届け出を出さないと警察に捕まってしまうんです。

「酒税法」というものがあって、お酒ははるか昔から今でも国の管轄。

 

え!

甘酒作ると逮捕されちゃうの!?

と、思った方。

 

安心して下さい。

 

実は「甘酒」は麹から作っても酒粕から作っても、アルコールには分類されません。

驚かせて申し訳ありません。

 

でも、酵母を利用して自分でお酒を造るのは法律違反になるので絶対にやめましょう。

どぶろくも捕まる可能性があります。

また果実酒などもアルコールの度数や漬け込むお酒は一種類など、厳しく制限されいますので気をつけて下さいね。

 

作るには現在免許が必要です。

造ったらどのくらい出来たのか毎年税務署が入り、どのくらいの税金(酒税)がかかるのかチェックされます。

 

めんどくさいですね。

でも、昔も今もこれは変わりません。

 

お酒は色んな意味で、国や神事に欠かせない大事なものだったんですね。

お神酒を自己製造する神社

こうした免許を取得している神社が、全国には4社あります。

正確には「御神酒清酒醸造免許神社」で、 伊勢神宮、出雲大社、岡崎八幡宮、莫越山神社です。

他 「どぶろく」の醸造免許取得神社が40社ほどあります。

免許のいらない甘酒を作っている神社などを併せれば、かなりの数になります。

 

日本の神様は本当にお酒が大好きです。

 

神社には必ずお神酒が置いてありますし、神事にはお酒は欠かせません。

中国の古書には、日本人はお酒をよく飲むから健康な人が多いと(読み取れるもしくは解釈できる)紹介文があるくらいです。

 

「酒は百薬の長」と言われるくらい古代では珍重されていました。

甘酒や濾して残った酒粕は栄養価が大変高い事でも知られていますし、神社は民衆の健康管理にも一役買っていたのかもしれませんね。

 

ちなみにこのことわざは「お酒自身が薬」なのではなくて、「お酒はリラックスできるもの」だから体の緊張がほぐれて良いという意味です。

決して薬と思って飲んではいけません。

ワンポイント 日本神話に登場する酒の神様

このように全国にある醸造を行う神社の他に、お酒の神様を祀った神社も数多くあります。

ざっと簡単にご紹介します。

  • 大神神社(おおみわじんじゃ)

住所:奈良県桜井市三輪

祭神:大物主大神(おおものぬしのおおかみ)と少彦名神(すくなひこなのかみ)

日本最古の神社と知られ、「杉玉」発祥の神社です。

三輪(みわ)は「神酒(みき)」の語源とも言われています。

  • 松尾大社(まつおたいしゃ)※佐香神社とも

住所:京都府京都市西京区嵐山宮町

祭神:大山咋神」(おおやまくいのかみ)

酒造りの技能集団だった秦氏(はたうじ)による創建で、京都最古の神社です。

境内には「お酒の資料館」があります。

  • 梅宮大社(うめみやたいしゃ)

住所:京都府京都市右京区梅津フケノ川町

祭神:酒解神(さけとけのかみ)と酒解子(さけとけのみこ)

祭神はいずれもこの神社特有の神様で、酒解神は木花咲耶姫(彼女も酒神として数えられる)の子供です。

 

この三社は「日本三大酒神社」として知られ、全国の杜氏や酒会社の信仰を集めています。

 

世界には、酒神としてローマ神話のバッカス(ディオニソス)やインド神話のソーマなどが知られていますが、日本にはこんなにもたくさん酒神さまがいます。

 

「八百万の神」という言葉の通り色んな神様がいるので、機会があればどんどん紹介して行きたいと思います。

 

f:id:oragamatiko:20180801153116j:plainさりげなく地元紹介

全国でも珍し醸造免許の神社が、まちこの地元にもあります。

南房総市(旧丸山町)沓見にある、莫越山神社です。

「安房国司祭」で使用されるお神酒を神社で醸造しています。

沓見莫越山神社と安房国司祭(やわたんまち)も是非あそびにきてね!

甘酒の健康食品としての役割

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甘酒の種類

お話したとおり、甘酒は日本酒の製造過程の一つです。

 

そこで、「麹(こうじ)」を使うか「酒粕(さけかす)」を使うかで大きく変わります。

 

ここでは甘酒の効果についてまとめてみました。

麹はノンアルコール、酒粕は微アルコール。

麹甘酒はノンアルコールですが、酒粕甘酒は酒粕を利用して作られているので、当然アルコールを含みます。

酒粕のアルコール度数としてはビール程と言われています。

 

甘酒にするとソフトドリンクという扱いですが、ガバガバ飲んでの運転は「飲酒運転」になる可能性がありますので、ほどほどに。

 

また、アルコールの分解能力は個人によって違います。

お酒に弱いという自覚がある方、お子さんなどは飲むのを控え、麹甘酒にした方が良いです。

麹は「飲む点滴」、酒粕は「飲む美容液」

また、それぞれで少しずつ効能が違います。

いわゆる「飲む点滴」は米麹の甘酒のことをいい、ダイエットや美容には酒粕の甘酒が効果的と言われています。

 

麹甘酒は菌によって生成されたブドウ糖やビタミン類などがたくさん含まれていて、疲労回復に効果大。

 

酒粕甘酒は麹と酒粕のダブルパワーで、麹甘酒の成分プラス、アミノ酸や食物繊維が多く美容に抜群。

 

さらに酒粕はコレステロールの抑制や血圧降下などの作用があるんだとか。

素晴らしい。

麹は「砂糖無添加」酒粕「砂糖添加多し」

甘酒はどちらも大変甘いですが、それぞれ理由が違います。

 

麹甘酒は麹の発酵によって自然な甘みが出ているので砂糖の添加はあまりありません。

でも、酒粕の甘酒は甘さを出すために砂糖が入れられていることが結構あります。

 

お砂糖を気にする方は、裏の表示成分のチェックをしてみてくださいね。 

まちこ甘酒の余談話~甘酒はみんな同じじゃない~

わたしたちは深く考えた事もありませんが、甘酒ってどれを飲んでも同じと思ってます。

 

でも、家庭で作ったり、酒屋さんのものであったり、お味噌のお店のものであったり、作っている場所は、実にたくさんあります。

 

つまり、それだけ甘酒の種類があるってことにもつながります。

 

甘酒に使われている「麹(こうじ)」は各造り酒屋や麹を扱うお店(味噌・醤油など)によって、微妙に違います。

 

それは仕込みの具合が違ったり、菌の種類や数が微妙に違ったりと、ほんのささいな違いなのですが、これが味に大きく関わってきます。

なので、自分の舌や身体に合ったものをみつけて長く愛飲するのが、健康維持にはかかせません。

 

ヨーグルトも色んな菌があって、色々試して自分の身体に合うものを探しましょうって聞きませんか?

これと同じです。

 

色々飲んで試してみるのも発見があって面白いですよ。

まとめ

甘酒の健康食品の歴史というと、江戸時代からを思い浮かべます。

 

でもお米から酒を造れば当然のことながら、甘酒や酒粕(詳しくは上記「甘酒と日本酒の違い」を読んでくださいね)などといったものも出ます。

これらは江戸時代よりももっとはるか昔から、健康のために欠かせない食材として食べられていました。

 

万葉集には「寒いから酒粕と溶かして飲んだよ」という歌があったり、古代の税務帳にも「病人の下級役人に酒粕配ったよ」という記述がみられます。

参考文献:万葉の古代と酒/加藤百一

 

そんな昔から飲まれていたすごい甘酒を是非、現代でも飲み継ぎたいものです。

 

これも一種の「文化財の継承」ってことになります。

 

このブログを書いた目的は、弱小文化財応援です。

「甘酒」を文化財とするのはかなり強引だというご意見もあるかと思いますが、こういったものは続けて行かないと残らない文化です。

普段の何気ない生活の中には、こうした気づかない文化財がたくさんあります。

 

しかも、これを文化財と認識することはまずないと思います。

 

是非是非、あなたも日本の文化の維持継承に一役かってくださいね!

 

「おらがまち」まちこでした。

 

 

↓ちなみに私が愛飲する米麹甘酒。

つぶつぶがなくて、さらっと飲みやすいのが特徴。

風邪のひき初めに飲むと効果抜群です。

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