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仏像は木だけじゃない!漆に石に粘土に銅!素材はたくさん自由自在!

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こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。

 

どこのお寺にいっても絶対ある「仏像」。

 

でも、この仏像って「木」で出来てるだけじゃないって知ってましたか?

 

あの超有名な興福寺の阿修羅像は実は。

女の人でも持ち上げられる仏像があるって本当?

 

などなど、今回は仏像の素材のお話。

 

それでは早速!

仏像の素材

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わたしたちが普段目にする仏像といえば、木材で作られたものがほとんどです。

 

でも、仏像の歴史を見てみると決して木材で作ろう!と決められたものでもないことがよくわかります。

 

さまざまの種類がありますが、ざっと下記にて紹介!

「漆(うるし)」で作った仏像なんてみたことないよ、という方。

いやいや、決してそんなことありません。

 

すごい有名な仏像があります。

きっと、知ってるあの仏像。

 

その名も「興福寺・阿修羅像」。

 ↓ こちらです。

実は「木」で出来ていません。(※引用した写真はインテリア商品なので木製)

何で出来ているかというと、漆と麻や和紙の繊維、木の粉。

 

中国発祥の技術で、ポイントは漆で固めて成形するということです。

日本では7世紀~8世紀(飛鳥~奈良時代くらい)に多く利用された技法です。

 

中心軸になる木製の棒人形(もしくは粗方に削った木像)のようなものをつくり、そこに”肉”となる漆で固めた麻の繊維や木くずなどを盛っていきます。

簡単に表現すると「木芯のある粘土の像」のようなものです。

 

粘土のように成形することが出来たため、柔らかな表現やふくよかさを表現するのに適した技法でしたが、平安時代以降にはほとんど用いられてなくなります。

 

なぜか。

 

ずばり、高かったから。

 

今ですら「漆」は大変高価なものですが、これは当時でも同じでした。

 

しかも、漆は”乾く”過程が大変特殊。

時間もかかるし、手間もかかるし、というわけで次第に消えて行ってしまいました。

 

そのため、この技法を用いた仏像は飛鳥や奈良時代など古い時代のものが多く、近畿を中心とした有名どころのお寺によくあります。

 

この仏像の特徴は、仏像内部が空洞で大変軽いこと。

 

全部木材で出来た仏像よりはるかにはるかに軽く、持ち上げるとびっくりするぐらい。

お寺で火事があったとき、お坊さんが一人で持ち上げて運んで逃げ出せるくらい軽い。

ものによっては女の人でもOK。

 

有名阿修羅像は1.5mで15kg。

 

こういう体験ができる施設があればいいのになぁ。

 f:id:oragamatiko:20180801153116j:plain漆のすごい力を知ろう!

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いわゆる「石仏(せきぶつ)」です。

 

石を彫刻したものや、岩盤を彫った「磨崖仏(まがいぶつ)」などがあげられます。

 

世界各地でも見られる仏像で、仏教発祥のインドには大変大きなものが多数存在。

日本でも古代から作られていましたが、近世になると庶民が製作するようになり、日本に現存する石仏のうち80%が江戸時代のものといわれています。

 

実はこの石でできた仏像は、わたしたち現代人にも大変なじみの深いものがあります。

 

それは道端なんかの祠にある「お地蔵さま」。

 

普段は気にすることはないですが、よくよく思い出すとお地蔵さまって「石」で出来ていませんか?

 

屋外にあるため木で作ったら腐ってしまいますから、必然的に石が加工の対象になったんですね。

 

しかも、石は結構身近にありますので、一般人にも手を出しやすい資材でした。

 

そのため、この「石仏」は、庶民の信仰や文化を表現する手段として活躍し、現在においても地域の信仰を知る貴重な史料としても研究されています。

 

お地蔵様のほかに、「道祖神(どうそじん)」など道の守り神や江戸時代に流行った「庚申信仰」などにも石で作ったものがよくみられます。

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奈良の大仏は、この「銅」で作られた代表です。

 

大型の仏像を作る時に多く用いられた資材でもあります。

金を混ぜたり、青銅(銅+錫)であったりしますが、ベースは銅。

 

銅は加工しやすく、比較的手に入り易い金属だったので重宝されていました。

 

銅で作る仏像は、まずはじめに木枠をつくりそれに土を盛りつけ、土の仏像をつくりあげます。

それを覆うように外枠を造り、銅を流す鋳型(いがた)を作成します。

そしてざっと銅を流しいれて、表面をきれいにしたら出来上がり。

 

と、文章で書けば大変簡単に感じられますが、実際は大変な労力や時間がかかっていて、奈良の大仏は14年かけて製作されています。

 

奈良の大仏があんまりにも有名なので、陰に隠れた存在となっていますが、銅製の仏像で、しかも百済(朝鮮)からの仏師によって手がけられた、蘇我馬子が創建した飛鳥寺の「飛鳥大仏」は、日本最古の仏像とされています。

 

こんなにすごい経歴を持っているこの仏像、なんと「国宝」ではありません。

「重要文化財」として扱われています。

 

これはあまりにも後世の修復箇所が多く、当初のものがほとんど残っていないためです。

(最新の研究結果では、飛鳥時代の銅を再利用して鎌倉時代に修復が行われたとも。)

 

大変残念な仏像といわれていますが、姿かたちや風貌などが奈良の大仏とは全く違って、大陸の影響を受けている大変見どころのある仏像です。

 

飛鳥大仏も大きさは3メートルとやっぱり大きい。

 

このように大仏は銅製であることが多く、だいたい大型のものはこの銅。

あとは大型なら石仏かな。

近代になっても日本全国で製作されています。

粘土

 粘土でつくられた仏像は「粘土像」とはいわず、「塑像(そぞう)」といわれます。

 

木で棒人間を作ったところに藁を巻きつけ、粗い粘土から細かい粘土へ変えヘラで成形していきます。

乾漆像とよく似た製作手順ですが、こちらは粘土でできているため大変重たいのが特徴です。

 

奈良時代後期に最盛期を迎え、平安時代以降木製の仏像が主流となるとほとんど作られなくなりました。

 

日本最古の塑像は、当麻寺(たいまでら)の金堂本尊:弥勒仏坐像。

さらにこのお寺の四天王は、乾漆像として有名。

 

成形した粘土を焼くと「塼仏(せんぶつ)」となり、こちらは飛鳥時代にはやって来た技法。

製作数としてはあんまり多くないです。

レリーフ的なもの、壁の装飾などとして使用されました。

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最後に「木」です。

これはもっともわたしたちの身近にある仏像。

 

特徴としては時代によって製作形態が変わる事です。

 

大きく分けて2つ。

 

一本の木から作る仏像と、積木のように部品を作って組み立てる仏像に分けられます。

一本の木から作る技法を「一木造(いちぼくづくり)」といい、組み立て式の仏像を「寄木造(よせぎづくり)」といいます。

 

一木造は一本の木から仏像の主要部分を削り出し、後から腕などの部品をつけます。

一木であるがゆえに、ひび割れしやすかったので、中をくり抜いたり、最初から中心を割った状態で作ったりと様々な工夫がされきました。

 

しかし、一旦彫り出してしまうと、乾漆像や塑像のように後で修正が出来なかったため、やがて数を減らしていきます。

 

このような流れの中で出てきたのが寄木造の仏像。

 

一本の木でなくてよいため、様々な木が用いられるようになり、さらに部品ごとの作業が行えるので仕事の効率化にも貢献した技法です。

もし失敗しても、その部分だけ造り直せばよかったので、経費や効率の面で大変有効でした。

 

平安時代後期の仏師:定朝(じょうちょう)が完成させたといわれ、その後継には運慶・快慶の慶派があります。

 

ちょうどこの定朝が活躍した平安後期は、仏像の製作ラッシュの時期。

 

なんせ世の中は「末法(まっぽう)」といって、釈迦の死後、仏の教えが衰え、悟りを開く事ができないとされた時代。

 

末法を知ることは地獄を知ること。

 

詳しくは身近な地獄絵図の記事へ。

www.oragamati.com

 

で、この時期に死ぬと大変。

誰も助けてくれないんですから。

 

極楽浄土に行きたい、誰か死んだ後も助けて欲しい、と、権力者たちはこぞって寺院を建立させました。

 

だから仏師は大忙し。

 

仏像を彫るにも木材を探して乾燥させて、彫り込んで、失敗したら、もう一回やり直し、なんて、効率の悪いことやってられなかったんです。

 

そして完成したのが「寄木造」でした。

この技法のおかげで、日本全国に仏像が普及するようになります。

 

寄木造の代表格は、東大寺南大門の仁王像。

あれだけ大きい(8.4m)ものを一本の木から作り上げるのは土台無理な話しで、この製作時には「寄木造」が大活躍しました。

 

昔は重さや持ち運びの関係で、お寺の中で像を作っていましたが、「寄木造」は場所を選びませんでしたので、大勢の人数で作業分担し、短時間で製作が行う事が可能となります。

東大寺の仁王像は、わずか69日で製作されたといわれています。

 

 

このように木の仏像だけでも、さまざまな種類があります。

 

しかも、もっと特別な存在にしたいと昔の人は仏像の中身にも凝ってました。

 

www.oragamati.com

 

そして、どの仏像にもいえますが、見た目だけでなんの素材で出来ているかと判断することはなかなか難しいと思います。

 

経年劣化によって素材がわかる仏像もありますが、基本見た目だけでは区別できないどれも精巧なつくりです。

銅や石はわかるかな。

 

仏像を間近で観る機会ってあまりありませんが、ずらっと並んでいる姿や鎮座している様子だけではなく、ぐいっと覗き込んでみて下さい。

 

きっと何か発見があるはずです。

 

木だと思っていたら、粘土だった!なんてあるかもしれません。

仏像を見に行くなら博物館へ~まとめ~

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仏像って意外に小さいやつが多いです。

 

なんででしょう。

どうしても大きく想像してしまうんですよね。

多分、奈良の大仏や鎌倉の大仏が有名過ぎるからかな。

 

なので、写真や本だけじゃなくて、実際に見に行くのが一等おすすめです。

しかも博物館や美術館のイベントや展覧会などがおすすめ。

 

超、間近で観れます。

さぁ、博物館へ行こう!

 

でもお寺に鎮座している姿はまた麗しい。

 

ちなみに仏像をマニアックに見てみたいなら、クラブツーリズムのように歴史オタクのツボを突くような企画に参加すると、結構レアな仏像を見ることができます。

一度サイトを見てみるのを是非是非おすすめします!

 

 

仏像の魅力は素材だけでも充分面白い。

それを間近で観られればなお面白い!

 

 

以上「おらがまち」まちこでした。