おらがまち

知れば知るほどおもしろい!自分の町と日本の文化!

仏像の意味を探る。外身も大事だけど仏像の中身はもっと大事!

スポンサートリンク

こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。

 

仏像ってとっても迫力があって、見ているだけでその魅力にはまってしまいます。

 

でも。

 

文化財保護の分野では、外身はもちろんですが、中身がとっても重要。

 

なぜって?

実はここからすごい発見があることがあるんです。

 

ではでは、今回は仏像の中身についてご紹介。

仏像に魂を入れる

butuzou-nakami

わたしたちは仏像を観ると、あたかもそこに仏様がいるような感覚になることがあります。

 

これは日本人特有の感覚で、「モノには魂が宿る」という神道の考えが根本にあるからです。

 

(※世界共通して、こどものころは「ものには心がやどる」と信じていますが、日本人の場合ちょっと特殊。)

 

お米の一つ一つにも、その辺に転がっている石ころにも、ぬいぐるみにも、トイレにもなんにでも魂、神様が宿っているとおばあちゃんに教わったりしませんでしたか?

だから、仏像にももちろん魂が宿ります。

 

それも人工的に。

 

そして仏像に魂を入れる方法は実にさまざま。

時代や仏像製作の技法などによって色々あります。

 

初めのころは「読経」で魂入れをしていました。

 

やがて平安時代後期に木像の仏像が主流になると、その中に紙や作り手の宝物、人の髪の毛なんかを入れたりするようになります。

中国などの仏像にも同じようなことをしているものがありますが、こちらは人間と同じように「内臓」もどきを作って入れていました。

 

より人間の体の構造に近いものへとしていたのが特徴。

仏像も生きている存在していると強調することが目的であったようで、具体的に表すことを使命としていたようです。

 

なので、高僧を即身成仏(いわゆるミイラ)として仏像の中に入れてたりすることもあります。

 

日本は象徴的に魂を入れることを選んだようで、この辺はやっぱり「モノには魂が宿る」という基本があったからかと。

 

例えばどんなものが入っていたのか、具体的に以下にあげてみました。

経文

「経文(きょうもん)」とは、お経の書かれた紙。

これは当初の「読経」の形を形として表したものに通じます。

 

仏像の中にびっしり詰め込まれていたりすることも。

 

木の板に仏像のサンスクリット(梵語)が書かれ、それを入れたりすることもあります。

梵語とは文字の一種なのですが、一文字で仏様を表すことが出来る優れもの。

 

まさに経文も梵語の板も、その仏様の魂、仏教そのものを象徴しています。

墨文字

仏像を軽くするために内部を刳りぬく方法が出来上がると、内面にびっしりお経を書いたりもしました。

 

内容はお経であったり、お願い事であったり、作られた経緯など色々。

 

ときには、畏れ多くもいたずら書きがされていたり、仏像を作った人の名前が書かれていたりすることもあります。

 

どんな内容であれ、こうしたちょっとした添え書きから、仏像の作者やどこに保管されていたのかなど、見た目からは判断できない情報がたくさんわかったりします。

水晶の玉

水晶を丸く磨いた玉で、魂を象徴することもあります。

経文や墨文字とは違い、魂を具体的に入れるという手法。

 

水晶であったり、小さな五輪塔、冒頭でもお話したように人の髪の毛や歯など。

心臓の代わりとしてまさに生きているように、髪や歯の所有者が仏になれるようにという願いが込められているのかもしれません。

 

仏様と一体、仏像を肉体として、という感覚が強い手法かな。

中身がピッカピッカ

さらにもっと象徴的になるのがこちら。

 

中が空洞だからと何かを入れるという形はとらず、それ自体に装飾を行うというものです。

 

真っ赤に塗ってみたり、金でピッカピッカにしてみたり。

 

いずれにしても「仏様にはなにかある」と暗に表現し、特別なものとして考えられていたようです。

修復記録証明書

こちらは魂というよりは、現実的なお話。

 

「わたくしこういう土地のこういう仕事をしているものでございます。今回とある方に頼まれて〇〇寺の不動明王を彫ることになり、奉納いたしました。日付はいついつのことです。」

 

「おれはいついつ〇〇寺の不動明王を修復したなんとかって者だ。修復したのはいいけど、ここの寺から△寺に移動になって今度そっちに安置した。」

 

なんて、修復関係者や歴史学者さんがよだれを流して喜ぶ内容の手紙。

 

簡単にいうと、「制作記録証明書」「修復記録証明書」みたいなものです。

 

この記録書が出て来ると、その仏像の歴史が丸わかりになり、研究が一気に進むというやつ。

とはいえ全てが全て真実とは限らないので、それなりの研究調査は必要になりますが、大きな役割を担ってくれます。

 

 

こうしたものは仏像に限ったことではなく、寺社の建築なども同じことが行われていたりします。

 

屋根裏に大工のちょっとしたいたずら書きや、どこそのこの建材を転用してきたとか、修復しないとわからないこと、中身を分解しないとわからないことはたくさんあります。

 

文化財の修復は、単に傷んだ部分を修復するというだけでなく、こうした学術的な調査も含んでいる大事なお仕事でもあります。

 

だから、修復する技術だけがあればいい、というわけでもなく、学術的な知識があればいいというわけでもありません。

 

その両方の知識がとっても重要。

 

もし、草書体(みみずがのたくったような字)が読めないで、ただの墨がちょっと付いただけのものだと思って削ってしまったり、捨ててしまったりしたら、それこそ取り返しのつかないことになっていまいます。

 

小心者まちこには畏れ多い世界なのだ。

見えないことからわかること~まとめ~

butuzou-nakami-mienaikotokara

普段仏像の鑑賞で、こうした中身や見えないところを観る機会はほとんど、というかほぼありません。

 

なので、わたしたちは見た目だけでその仏像を判断。

 

ここに金箔が使われているし、彩色ゆたかな仏像だったとか。

細かな衣流れがあってとっても優美とか。

 

仏像も見た目が重要視されてしまっています。

 

でも、見た目はもちろん大事ですが、本当にその仏像の真相を知る手がかりは中身にこそあったりします。

 

修復現場では色々な形で中身が調査されます。

 

X線(レントゲン)やCTなどの科学的に内部を知る方法や、昔からの直接仏像を解体する方法などなど。

 

こうしたところから、その仏像の秘密がどんどん解明されていきます。

歴史的考察だけでなく科学的な考察が出来るようになったことで、色々な事実がわかってくるなんて、とっても面白いです。

 

人は見た目より中身、とよくいいますが、仏像も同じ。

 

見た目9割、中1割。

なんて話も、その中1割でその人の魅力も大きく変わっていくもんです。

 

 

というわけで今回は仏像の中身のお話でした。

見えないところに魅力が詰まった仏像さんは、調べられていないけどまだまだたくさんいます。

秘密が隠された仏像をみにいってみてくださいね!

 

以上「おらがまち」まちこでした。