こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
弱小文化財のなかには、国宝や重要文化財などの文化財に限らず、わたしたちの身近に存在するものがたくさんあります。
なかでも、パッと思いつくのが「伝統工芸」。
そこで、歴史をが好きで、美術・芸術が好きな人は一度は目指したいと思ったことがある職業に今回はスポットを当ててみたいと思います。
かくいうまちこも、歴史系美術大学出身ですので言わずもがな伝統工芸に憧れた一人でございます。
それでは、伝統工芸士になるにはどういった手段があるのか探ってみましょう!
伝統工芸士には試験がある
伝統工芸士になりたいと就職先を探す方がたくさんいらっしゃいますが、実は伝統工芸士は試験に合格しないと名乗ることができません。
伝統工芸の職人になるのと、伝統工芸士になるのでは全く意味合いが違ってきます。
受験資格
受験資格は産地に住み実務経験が12年以上(※伝統工芸によって多少異なることも)ないと試験すらさせてもらえません。
さらに、その受験を申請できるのは産地の組合。
その組合を通じて申請・受験が可能で、最終的に経済産業省が認可を与えるものになっています。
いわば国家資格となるのが「伝統工芸士」。
年一回のチャンスに合格し、はじめて伝統工芸士を名乗ることができます。
実技試験・筆記試験、ともにかなりの専門的知識が必要。
そして伝統工芸士になったら、その伝統を後世に伝えていくことが責務となっていきます。
伝統工芸を仕事にするには
伝統工芸士は、自称でなれるものではありません。
そしてそれを目指すためには、自ら実務を積んでいかなければなりません。
ですが、伝統工芸の世界は一般的に求人募集をすることはほぼ皆無といってもいいぐらい。
どうやって、求人の就職口を探したらよいのかものすごく困る世界でもあります。
そのため、まずは自分の足で作品を見て歩く必要に迫られます。
伝統工芸品が好きな人は、自分の好きな作家、自分の好きな作品、自分の作ってみたい工芸品など、少なからず思うものがあると思います。
まずは、そこからこの人の所で修業をしたいという気持ちを育てることが大事に。
職人になる
そうして弟子入りし、様々な知識・技術を習得した後、そのまま師匠のもとで職人として働くことが一般的。
伝統的な技法から、昔ながらの工芸品を作るのが主な仕事となります。
下記の作家や芸術家とは違い、伝統的な方法を守っていくという使命的なものあるので、伝統工芸を守る一番重要な砦でもあります。
ここが基本中の基本。
伝統工芸の要の仕事です。
産地で実務を積むことがとても重要になるので、伝統工芸士を目指しているなら職人を目指しましょう!
作家になる
弟子入りをして伝統工芸を学んだ後、もしくは独学で伝統工芸を習得した場合はこのパターンもあります。
伝統的な技法や道具、材料にこだわらず、日用品を作り上げていく作家になることもできます。
もっと新しい伝統工芸を生み出したい、もっと伝統工芸を身近なものへと思われているなら作家になるのも面白いです。
芸術家になる
弟子入りをした後、もしくは大学や美術系の学校を出た後などに、自分の作品を展覧会などに出品し受賞することで芸術家としての地位を確立させます。
職人や作家とは違い、実用的なものではない美術品を作り上げることが必要となりますので、美術的なセンスがものすごく必要。
かなりの狭き門ですが、自分の作品を認めてもらえる大きなチャンスがあります。
伝統工芸を学ぶ場所を探す
では、そんな伝統工芸を学ぶためには直接弟子入りをしないとできないのかというと、そうでもありません。
それに弟子入りにするにしても、身一つで行くのはちょっと恐れ多いと思われる人もいると思います。
もちろん熱い思いに答えてくれる師匠もいるかもしれません。
でも、とりあえず基本的なことを知っておきたいですよね。
そのために全国各地には、工芸を専門的に教えてくれる学校が結構あります。
大学、専門学校などのほかに、伝統工芸それぞれの研修所などが方法の一つ。
学校へ通う
大学・短大・専門学校に設置されている伝統工芸の専攻を受講すること。
伝統工芸の専攻分野は、美術系が圧倒的に多いです。
特に大学は細かく専攻が分かれていて、専属の教授が名のある方であったりと学ぶ環境は最高。
そこにやってくるツテは侮ることなかれ。
ツテを利用して、卒業後の進路を決めることだってできます。
大学に入るのがとっても近道だと、まちこは実感しています。
大学のコネの力を知っている人は理解してくれるこちらの記事!
ちなみに大学情報サイトなどで大学や短大、専門学校で検索するよりも、「大学校」で検索するとどのジャンルでも専門的な学校を選ぶことができます。
大学・短大・専門学校・大学校という広い目線で進学を考えてみてくださいね!
研修所へ通う
伝統工芸には、それぞれ研修所なるものがあったりします。
有名なものといえば、輪島の漆器研修所。
正式名称は「石川県立輪島漆芸技術研修所」です。
輪島の漆器だけを教えているわけではなく、どの地域でも通用する漆芸に関する基礎的を教えてくれます。
入学金・授業料は一切必要ありません。
漆芸の未経験者を対象にした2年カリキュラム、美術系大学で基礎を学んだ者を対象に3年カリキュラムが設置されています。
例年12月中旬に願書の受付、実技と面接の試験が行われます。
全国的に有名な秀衡椀や高台寺椀、挽物、曲物、指物など、たくさんの高い技術を習得することが可能となっています。
興味を持たれた方は、直接サイトへ!
このほかにも京都には西陣織の研修所があったり、和紙や織物などの研修をしているところが全国各地にあります。
短期で地域の伝統工芸講習会や伝統工芸の職人さんとお話ができる機会などもあります。
都道府県よりも市町村の方がよりマニアックな情報が得られるので、市町村単位で行動した方がいいです。
自分のここだ!と思う市町村や都道府県に問い合わせてみてください。
自分で動かないとわかりませんよ!
頑張ってください!
年齢は関係ない~まとめ~
伝統工芸を仕事にするのに年齢は関係ありません。
中学を卒業してすぐに、会社を引退してから、中途リタイヤして伝統工芸の道へ。
そんな順番だってあります。
ただ、伝統工芸の世界は人伝の世界です。
技術の習得には、やはりお手本となる先生がどうしても必要になります。
さらに、そのできた作品を売るにも展示するにもなにをするにも誰かの協力なくしてはできません。
そのまず第一歩となるのが、学校や研修所です。
そこにやってくる情報は、ネットで発信されている情報よりものすごく濃くて、重要なものがたくさん。
ネットでだけでは限界があります。
自分の足で探すことがとっても大事です。
伝統工芸士を目指している皆さん、老若男女誰でも地域の文化を守ることは出来ます。
自分なんてと思わず、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょう。
というわけで、今回はまちこのおせっかいシリーズ「伝統工芸士になるには?」でした。
以上「おらがまち」まちこでした。
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同志たちよ、いざ行かん!