おらがまち

知れば知るほどおもしろい!自分の町と日本の文化!

神社の仕事。お祭りがとにかく多いんです。

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こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。

 

身近にあるのに意外に知らない神社。

 

毎年同じ日に地域でお祭りが行われていますが、これ神社にとってはどんな意味があるのか知っている人ってあんまりいません。

しかもお祭りが神社にとっての仕事そのもの。

 

というわけで、まちこも大好き地域のお祭り、神社のお祭りについてのお話です。

 

それでは早速!

神社の祭りの種類

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神社には、実に多種多様な祭りがあります。

それぞれ一応名前が付けられていて、大きく分けて4つになります。

 

わたしたちに親しみのある厄除け祈願や七五三なんかも、神社にとってはお祭りです。

 

神社のお仕事はみんなでワッショイワッショイやっているお祭りだけでなく、七五三や厄除け祈願だけではありません。

とにかく細かくお祭りが細分化されていて、めちゃくちゃ多いんです。

 

ではでは、それぞれどこの分野に属するのかちょっと簡単にまとめました。

大祭

例祭や祈年祭などが含まれるお祭りで、その神社と深い関わりがあるお祭りになります。

 

なので、地域の神社で行われている夏祭りなどはこの「大祭」に分類されます。

 

わたしたちは普段なんの気なしに、夏祭りに行っていますが、実は神社にとっては一番重要なお祭りであり大事な仕事。

こうしたお祭りは正式には「例祭(れいさい)」といわれ、その神社の神様の誕生日や命日などに行われています。

 

現在はこうしたお祭りに参加する人が少なくなってしまったため、平日を避け土日祝日に開催されているところも多いようです。

本当は、古くから定められた日に行うことがなによりも大事なんです。

それも出来なくなっているのは悲しいことです。

 

ちなみに、神様にゆかりのある日を「縁日(えんにち)」と呼びます。

焼きそばやわたあめなどのの出店があって、御神輿が出したりする日を「縁日」といいますが、由来はここから来ています。

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例祭のほかに

  • 祈年祭・・・2月に行われる五穀豊穣を祈るお祭り
  • 新嘗祭・・・11月に行われる五穀豊穣を祈るお祭り(祈年祭と対)
  • 式年祭・・・決められた年数ごと(5年とか7年とか)に行われるお祭りで、例祭の大規模ver
  • 鎮座祭・・・社殿を建立した記念日
  • 遷座祭・・・社殿修復や造営のために神様を移動するお祭り

などがあります。

中祭

大祭は結構なじみがあるものが多いですが、打って変わってこちらはあんまり知らないお祭りになります。

 

内容は

  • 歳旦祭・・・元旦に行われるお祭りで、皇室や国の繁栄を願うもの
  • 元始祭・・・1月3日に行われ、天皇や国の繁栄を祈願、戦前は祝日。
  • 紀元祭・・・初代天皇・神武が即位した2月11日(建国記念日)に国の繁栄を祈願
  • 昭和祭・・・昭和天皇誕生日4月29日に国の繁栄を祈願
  • 神嘗奉祝祭(かんなめほうしゅくさい)・・・10月17日に行われる伊勢神宮の新米を奉るお祭りに関して、全国の神社で行われるお祝いのお祭り
  • 明治祭・・・明治天皇誕生日11月3日に国の繁栄を祈願

など。(参考:神社本庁)

 

昭和や明治、紀元などがあることから、天皇家に関係のあるお祭りかな?と思いますよね。 

中祭は、皇室に関係のあるお祭りになります。

 

なので、氏子さんとかその代表とかでもないと、あんまり参加したり目にしたりすることがありません。

でも、大祭に次ぐ「中祭」になるので、神社にとっては重要なお祭り。

 

皇室崇拝か!という声も聞こえてきそうですが、本来の意味は国の繁栄や五穀豊穣を願うお祭りなので、皇室関連というよりも、日本という国のために行われるお祭りといった方がいいかもしれません。

 

ちなみに天皇陛下のお仕事は、こういった祭祀を行う事がとっても重要。

くわしくはこちらの「天皇陛下はサラリーマン」の記事へどうぞ。

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小祭

小祭はざっくり言うと、神社が行うお祭りで、大祭・中祭以外のお祭り。

細かいお祭りは全てこれに含まれます。

 

例えば、月次祭(つきなみまつり)や日供祭(にっくさい)などがあげられます。

 

いずれも、月に数回であったり、毎日行われているお祭りです。

国の安寧を願うお祭りになります。

諸祭

細かいお祭りは全部小祭に含まれるとお話しましたが、ポイントは神社が主催になって行われているということ。

 

わたしたちになじみのある七五三やお宮参り、厄除けなどは、わたしたち個人がお願いして、神社側にやってもらうお祭りになります。

 

このような、人間が個人的に神社にお願いするお祭りのことを諸祭(雑祭:ざっさい)といいます。

 

このお祭りは、わたしたちが個人的に行うお祭りになるので、よく知っているものばかり。

 

七五三、お宮参りなどをはじめ、厄除け、地鎮祭、上棟祭など、なにかしら体験したことがあるものです。

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お祭りというと、夏祭りや秋祭りばかりが先に来てしまって、他の神社で行われているお祭りのことを意識することはありません。

 

「神事」や「祭り」の区別がよくつかないといわれていますが、これはほぼ同じ意味です。

 

わたしたちは普段の生活や人生の節目節目に、知らずお祭りを行っている民族なんです。

 

お祭りが苦手だな~と思っているあなたも、実はお祭りしょっちゅうやってるんですよ。

夏祭り・秋祭り

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というわけで、お祭りというと「夏祭り」「秋祭り」ですが、このお祭りについて詳しく突っ込んでみたいと思います。

 

最近は、こうした地域のお祭りが苦手だという人が増えてきました。

 

これ、実は今になって始まったことではありません。

 

昔の人だって、お祭り苦手だな~、好きじゃないな~、という人たくさんいたんです。

村の祭り

昔から村には必ず神社があり、村民はこの神社を産土神として信仰、祀ってきました。

そこで行われていたのが「村祭り」。

 

地域が一丸となって、自分たちの神社のお祭りを実施していました。

 

ところが、やっぱり昔もお祭りが嫌いな人がいたんです。

我関せずでお祭りに参加しなかったりしたら、こりゃ大変。

 

なんせ、人がいなければお祭りが実施出来ません。

お祭りやらないってことは、村の神様をもてなすことが出来ません。

 

お祭りは基本、豊穣のお礼のために神様をよいしょよいしょして神様に楽しんでもらう事が目的です。

 

現代人からしたら、あーはいはい。という感覚かもしれませんが、当時の人にとってはお米や魚などの恵みはすべて神様からいただいたものです。

 

これじゃあ、神様も怒ってしまいます。

もしかしたら、罰があったったり、来年の恵みは期待できないかもしれません。

 

だから、お祭りは「個人の自由はない」ことが鉄則でした。

 

身勝手な振る舞いをすると、自分だけでなく村の人全員に迷惑がかかってしまうからです。

有無を言わさず、強制参加です。

個人の身勝手な行動は許されませんでした。

 

好きでも嫌いでも村の一員である限りは、「お祭りはやらなければならないもの」。

 

現代人は、嫌いならやらない、めんどくさいならやらない、で通ってしまいますが、昔は死活問題です。

 

なので、村人の結束力は大変強いものでした。

 

お隣さんにお醤油をもらいに行く、なんてのがありましたが、こんなの昔の人にとっては大したことじゃなかったんですね。

極端な話し、生死をともにする仲間なんだから、醤油ぐらいあげるよって話になります。

 

そして、お祭りにときには必ず一同集まって、ともに食事をとります。

 

これも大変重要なことで、神道にとって同じものを食べるとことを「共食(きょうしょく)」いいます。

同じものを食べたものは一心同体になるという考えです。

 

しかも、同じものを食べるのは人間だけではありません。

神様もお供え物として、村人と同じものを食べます。

f:id:oragamatiko:20180801153116j:plain鏡餅も共食?神様と一心同体になる儀式。

つまり、お祭りは神様と一心同体になるための儀式でもあり、村人同志を結束させるための重要なものだったわけです。

 

これは都市部においても同じことでした。

 

ちなみに農村などでは年に2回、春と秋にお祭りが行われますが、春は国家的な祈年祭、秋は収穫を喜ぶ新嘗祭とされています。

都市部の祭り

都市部というと、都会的というイメージになってしまいますが、これはちょっと違って、「人の流れが常にある地域」と思ってもらった方がいいかもしれません。

 

都市部のお祭りの特徴として、夏に行われることが多いですが、これにもちゃんと理由があります。

 

都市部は、人が常に出入りします。

つまり、なんでもかんでも出入りが出来るところ、ということにもなります。

 

「なんでもかんでも」ってのがポイントで、これは人や物ばかりではありません。

疫病の原因となるものや、悪い気や、よくないものなども含まれます。

 

とくに夏場は、こうした疫病などが流行する時期でもあり、昔の人たちはこうした原因は細菌やウィルスなどではなく、悪霊などが引き起こしていると思っていました。

 

そのため、こうした悪霊を鎮めるため、祓うために「御霊会(ごりょうえ)」というものが行われていました。

 

これは有名な京都の祇園祭の起源となるものです。

「鉾(ほこ)」に神様を乗せ、市中を引き回し、浄めてもらう事が目的です。

 

この祇園祭を起源に、各地でも鉾や山車、屋台などを、住民で曳き回します。

 

祇園祭の起源についての考察はこちら。

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これも好き嫌いなどは関係ありません。

なんせ生死が関わることなので、お祭りは地域の人間にとっては「やらなければならないもの」です。

 

 

このように、村であれ、都市部であれ、お祭りは重要な行事であり、個人の自由のない行事でもありました。

 

そう考えると、昔のお祭り嫌いな人たちって、さぞ大変だったことか。

 

今のわたしたちにとって、お祭りはやらなくてもいいものになりつつありますが、本来の意味を知ると、やることの意義というものもなんとなくわかりますよね。

 

ただ、時代と共に変化して行くのは致し方のないことだと思います。

無理にやるのも大変。

 

だって、お祭りってお金はかかるし、労力も必要ですからね。

 

でも、残念。

「祭り」の意味は薄れている~まとめ~

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その代わりといってはなんですが、今は様々なところで「お祭り」という名称ととともにイベントが行われています。

 

これも地域のつながり、人と人とをつなげる大事な行事になりつつあります。

現代にはとってもマッチしたお祭りではないかな。

 

ただし、ここに神社は絡んでいませんが。

本来の「祭り」の意味は薄れてしまっています。

 

神社には「祭り」がたくさんあって、その中でも「村祭り」や「夏祭り」などの「例祭」がもっとも大事なものとされていますが、その重要性も薄くなっています。

 

神社の存在も物理的に最も近くにあるのに、最も知らないものになりつつある。

 

とはいえ、わたしたち日本人の生活にはさまざまな「祭り」とともに成り立っています。

 

七五三やお宮参りなど、結構身近なものが「祭り」かと思うと、ちょっと親近感がわいてきましたよね。

 

人生の節目だけではなく、一年の節目、季節の節目で、様々なお祭りが行われているので、ちょっと意識してみてくださいね。

 

 

以上「おらがまち」まちこでした。

 

< 参考文献・サイト >

図説 神道 ---八百万の神々と日本人 (ふくろうの本/日本の文化)