こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
神棚の中にお札(おふだ)が入っているのはみんな知っていることですが、なぜ神棚にお札が入っているんでしょう。
必ず入れなければならいものなんでしょうか。
そもそもどこで入手するの?
今回は、実は知らない「神宮大麻」というお札についてスポットを当ててみたいと思います。
それでは早速!
神宮大麻とは?
「神宮大麻」は「じんぐうたいま」ともいわれますが、正式には「じんぐうおおぬさ」と読みます。
写真の中央にある「天照皇大神宮」と書かれた紙のこと。
現在の形に統一されたのは明治維新後で、「天照皇大神宮」と「御璽(ぎょじ)」(ハンコ)が押されます。
「神宮」は「伊勢神宮」のことを指し、「大麻」は神道でのお祓いの儀式:修祓(しゅばつ)で使用する神具のことを指します。
神社でお祓いしてもらうときに、榊と紙垂(和紙を切ったもの)でガサガサやられますよね。
「大麻(おおぬさ)」はあれです。
↓ こんなの。
「神宮大麻」は、伊勢神宮でお祓いしたよ~ということで、大麻の神具の代わりに渡されていました。
箒(ほうき)の原型になった神道の道具の一つです。
ご神体や御霊分けといったものではなく、お祓いが完了しましたよ~という証として発行されたようですが、民間で大々的に普及してくると、神棚に納めることで御神体や依代といった考え方と混同されるようになりました。
そのため、現在も一概にこうだ!という見解はありません。
いずれにしても、神道の考え方からすると、なんにでも神様は宿ってしまいますので、こういった考え方になるのは当然かもしれません。
なんにでも魂が宿る日本人の宗教。人形も神様?
なぜ神棚に入れる?
この疑問は、なぜ「伊勢神宮のおふだ」を入れるの?ということと同じになります。
日本人は、神社を祖先を祀る宗教施設として認識しています。
つまり、祖先を崇拝する信仰ということですね。
いわゆる「氏神(うじがみ)」さまというものです。
そして「氏神(うじがみ)」さまを信仰する人々のことを「氏子(うじこ)」といいます。
氏子とは、ある神社の周辺に住む地域の住民のことを指しますが、本来はもっと密な関係のものでした。
「氏神」は「氏」の神というくらいなので、もともともある一族が崇拝する神という面をもっています。
例えば、鈴木さん一族が祖先を祀るために「鈴木神社」という施設を建て、子々孫々この神社を祀ったとします。
「鈴木神社」は、鈴木さん一族にとっては「氏神」を祀る神社で、その神社を祀った鈴木さん一族は、「鈴木神社」の「氏子」というのが本来の「氏神」と「氏子」の関係になります。
ようは血縁関係にあるもの。というわけです。
ところが、これが後世にくだってくると、ある「氏神」さまを祀る神社の周辺に住み、その神社を信仰する人たちを「氏子」と呼ぶようになります。
ここで血縁関係といったくくりがなくなり、信仰する神社というのが大事になってきます。
なので、神棚の中には自分の家が信仰する神社のお札を入れるのが普通です。
神棚には通常3枚のお札を入れます。
- 「神宮大麻」
- 「自分の家の氏神さま」
- 「個人的に信仰する神社」
2・3は信仰する神社なのでわかりますが、1の「神宮大麻」はあるのが当然。
当然なので、わたしたちは深く考えもしません。
しかも、「神宮大麻」は3社造りの神棚であれば中央、1社造りであれば一番前に置くことから、かなり重要なもの。
なぜ置くんでしょう。
これは、あなたが日本人だからです。
伊勢神宮は単なる一神社ではありません。
日本で一番偉い神様「天照大御神」を祀っているからでもあり、天皇家の祖先を祀る神社でもあり、そして何より日本人の総氏神さまを祀る神社だからです。
つまり、伊勢神宮は自分の氏神さまを祀っている神社。
神棚に祀るのは、自分の信仰する神社とお話ししましたが、伊勢神宮は正に日本人の祖先を祀る日本人の氏神様。
だから、神棚に飾る時は真ん中に入れますし、一番前に置かれるんです。
このように「神宮大麻」を祀る理由は「氏神」「氏子」の関係が深く関わっています。
最初の疑問のなぜ「神宮大麻」を祀るの?は、
それはあなたが日本人だからです。
が答え、というわけです。
神棚の飾り方などはこちらの記事へ
身分相応の神宮大麻
サイズ・値段
神宮大麻には3種類のサイズがあります。
- 神宮大麻・・・縦24.5cm×横6.8cm-1000円
- 神宮中大麻・・・縦25.0cm×横7.5cm-1400円
- 神宮大大麻・・・縦30.5cm×横10.5cm-2000円
※令和2年5月に変更されました。神宮大麻800円⇒1000円、神宮中大麻1200円⇒1400円、神功大大麻変更なし
大きいからご利益も大きい、といったことは全くありません。
一番大事なのは「相応」です。
神棚に見合ったサイズを購入することがとっても大事。
大麻は、神様を降臨させるための「依代(よりしろ)」と同じ意味があります。
小さい神棚なのに、大大麻を入れてぎゅうぎゅうの状態では、神様もそんな場所に降臨したくなくなってしまいます。
なので、購入の時には必ず神棚のサイズを測っておきましょう。
どこで購入するの?
基本どこかの神社の氏子さんであれば、その神社から年末になると配布されてくるはずです。
代金の支払いの形態は地区ごとに違います。
わたしの地区では新しい神宮大麻が来ると、古い大麻を神社へ持っていかなければならないので、その時に支払をしています。
このような場合でなければ、自分で購入しなければなりません。
神社庁の管轄である神社であれば、この神宮大麻は常備されていますので、神社の社務所で聞いてみましょう。
お札とかお守りが置いてあるところに大体あります。
神社庁の管轄でない有名どころの神社といえば明治神宮。
ここにいっても神宮大麻は購入で出来ませんので気をつけて下さい。
ほかにもいくつかありますので、不安であれば問い合わせるのがよいです。
一番確実なのは伊勢神宮です。
ちなみにお札だけ勢いで購入してしまい、神棚がないという場合でも対処はありますので安心して下さい!(笑)
神宮大麻の起源~まとめ~
「神宮大麻」を「じんぐうたいま」と読むと、「大麻(たいま)」?と思ってしまいますよね。
「大麻(たいま)」っていうと、ドラッグをイメージされるかと思いますが、実はこの「大麻」もそれ。
しかも日本人と大麻の関係は縄文時代にもさかのぼることができる、ふる~~~い関係があります。
実物は、福井県からは世界最古の大麻の種(10000年前)が発見されているほど。
でも、今わたしたちが思うような幻覚作用が強い薬の様なものではなく、薬としてというより、むしろ繊維としての活用の方が重たる利用方法でした。
例えば、神社の注連縄であったり、土器の模様もこの「大麻」の葉っぱの模様。
昔和紙がなかったころは、この大麻をまんまお祓いのときとかに利用していたんだとか。
あの神主さんがガサガサ和紙を切った箒のようなもの(「大麻(おおぬさ)」)の初期の形態が、この大麻。
「大麻」「大麻」というと悪いイメージしかありませんが、日本では薬ではなく生活に欠かせない植物として大活躍だったんです。
しかも種からは油も採ることが出来たので、古代からお米と並んで重宝されてきました。
そのため神聖視もされ、現在も名前が残っていたりと大麻の日本での重要性がわかります。
神宮大麻の歴史をひも解くと、たった一枚のお札ですが、それは縄文時代にもさかのぼることができ、「氏子」「氏神」の関係までわかってしまう、なんて面白いですよね。
神棚に欠かせないこのお札。
大事なものですので、年末に新しいものへの変更を忘れないようにしましょう!
以上「おらがまち」まちこでした。