こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
人は死ぬと、お通夜をしてお葬式をして七七日(49日)の法要を受けます。
大体死後の儀式の流れはこれで決まっていますが、お通夜やお葬式は何となく理解できるけど、この七七日の法要って一体なんの意味があるんでしょう。
そもそもなんで「四十九日」とせず、「七七日」と書くのか。
ここにもちゃんと、昔の人の知恵と理由が存在します。
ちゃんと法要をしないと、ご先祖様が地獄で大変なことになるかもしれません!
今回はこの七七日にスポットを当ててみたいと思います。
それでは早速!
四十九日で行先決定
人間は死ぬと、地獄なのか天国なのかどこに行くのか「十王(じゅうおう)」の裁きを受けることになっています。
「初七日(しょなのか)」「七七日(しじゅうくにち)」とかいう言葉を聞いたことありますよね。
お葬式のときにこれらの言葉を聞くのは、この時に十王たちの裁きを受けるからです。
だから、遺族はこの日に法要を行うのですが、死後から7日ごとに行われている裁きとされています。
「初七日」「七七日」ばかりが目立っていますが、本当はこの間に「二七日」「三七日」などもあり、全部で7回の裁判があります。
1回目の7日だから「初七日」、2回目の7日だから「二七日」、3回目の7日だから「三七日」という具合に、「回数+七」で表記するのが普通。
だから、「しじゅうくにち」といっても「四十九日」と表記するのではなく「七七日」と書くわけです。
間違って「四十九日」と書いてしまうと、ちょっと恥ずかしい大人になってしまうので気をつけましょう!
日頃の行いだけじゃない判決
この7回の裁判の中で、「十王」たちの裁判を受けるのですが、これには基準があります。
生前の日頃の行いを見て、さらには家族などからの追善供養(ついぜんくよう)があるのかなどなど、総合的に判断して49日で決定します。
死んだ人にとっては、生きている家族からの法要という供養はとっても大事なんです。
わたしたちはお盆や一周忌など、時期がくれば知らず死者の追善供養を行っています。
あれはただのイベントではなく、十王に遺族側から訴えることが出来る唯一の機会なんです。
だから、お葬式後最初の7日目「初七日」は一番最初の裁判だから、「七七日」は一番最後の裁判だから、お寺にちゃんと南無南無してもらわけです。
7回裁判に10人の裁判官
でも、ここで疑問に思うのは「7回の裁判」なのに「10人の裁判官」がいるということです。
死者は49日、7回の裁判で行先が決定するはずだから、10人もの裁判官は必要ないはずですよね。
7人いれば十分。
でも、そこはやっぱり例外の死者もいるわけで。
49日で行先が決まらない人のために、「百か日」(100日)「一周忌」(1年)「三周忌」(2年)という措置がとられています。
おお、かなり合理的なシステム。
だから、お葬式は三周忌までがひとくくり。
最近は一周忌で終わらせてしまうことが多いですが、三周忌まではしっかりやるのが死んだ人にとってはプラスになります。
もしかしたら、わたしのおじいちゃんは初七日で決まっていたかもしれません。
でも、死後の世界のことなんて生きている人間にはわかりませんよね。
ので、念のため、三周忌まではやろう。
思わず面白いシステムと笑ってしまいますが、時代が下ってくるとさらに3人増えて「七回忌」(6年)、「十三回忌」(12年)、「三十三回忌」(32年)という法要も出てきます。
どうして、ここまで法要が増えたのかというと、どうかなるべくいいところに送ってやってください、という遺族の気持ちの表れとされています。
裁判する回数が増えれば、もしかしたらどこかでいい所にいけるかもしれないですからね。
今は「初七日」や「七七日」などは、形式だけになってしまっていますが、本当はこういう意味があるので、知っておいても損はないです。
時々お坊さんが、こういった解説をお葬式のときにしてくれたりしますので、お葬式退屈だな~と、寝たりしないで、良い機会なので是非説法聞いてみて下さいね。
勉強になりますよ。
まちこはお葬式の時のお坊さんの話し大好きです。
そして、もやもやしている遺族と死者にとっても良いお知らせ。
基本十王たちは、全ての人をなるべく良い世界へ行かせてやりたいという思いがあります。
十王の正体
それは十王の正体に秘密があります。
そもそも、この死後の十王の裁判の考え方は、最初はインドで出来上がりました。
しかも、7人が当初。
それが中国に仏教と共に伝来すると、中国にあった道教と習合(合体、混ざり合うこと)し、10人となります。
ここで十王信仰が確立。
そして、平安時代末期「末法思想」とともに「十王信仰」が日本にやってきました。
いわずもがな日本でも、もともと入っていた「仏教」と習合し、「十王」の本当の姿は慈悲深い仏様だ、という考えが出来上がります。
やがてこれが一つの信仰として確立していきます。
つまり、「十王」の正体は「仏様」ってわけです。
「仏様」は、みんなを救いたいと常に思っています。
地獄に落としたいとは思っていないのだから、どうにこうにかして死者を救おうと躍起になります。
では、十王の正体を詳しく見てみたいと思います。
秦広王(しんこうおう)―初七日(7日目)
本当の姿:不動明王(ふどうみょうおう)
役目:三途の川の手前にて待機。殺生の有無を問いただし、罪状に応じて三途の川の渡る場所が決まる。
初江王(しょこうおう)―二七日(14日目)
本当の姿:釈迦如来(しゃかにょらい)
役目:三途の川すぐそば。盗みの罪を確認し、進むべき道が決定。
宋帝王(そうていおう)―三七日(21日目)
本当の姿:文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
役目:三途の川を渡ったところで、邪淫の罪を問う。ここで懺悔しないと衆合地獄へ直行。
五官王(ごかんおう)― 四七日(28日目)
本当の姿:普賢菩薩(ふげんぼさつ)
役目:五官(目、耳、鼻、舌、皮膚)を使った罪(とくに嘘)を問い、秤量舎にある秤(はかり)にかける。
閻魔王(えんまおう)― 五七日(35日目)
本当の姿:地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
役目:浄破瑠璃鏡(じょうはるりきょう)にてすべての罪状確認し、来世の六道(りくどう)転生先決定。
変成王(へんじょうおう)―六七日(42日目)
本当の姿:弥勒菩薩(みろくぼさつ)
役目:閻魔王で決まった死者の詳細について決定される。どの地獄行かを決定する。
泰山王(たいざんおう)―七七日(49日目)
本当の姿:薬師如来(やくしにょらい)
役目:最終審議。今までの王が先送りにしてきた死者に選択肢を与え選ばせる。ここで遺族の追善供養の威力が爆発!
平等王(びょうどうおう)―百か日(100日)
本当の姿:観音菩薩(かんのんぼさつ)
役目:遺族側の貪欲さを審議。もはや死者だけの話でなくなる。
都市王(としおう)―一周忌(1年後)
本当の姿:勢至菩薩(せいしぼさつ)
役目:ここで地獄行が決定されても、遺族が一周忌を行えば許される。やろう。一周忌。
五道転輪王(ごどうてんりんおう)―三周忌(2年後)
本当の姿:阿弥陀如来(あみだにょらい)
役目:遺族側の法要の度合や回数によって死者の行先が決定。
後半になってくると、いかに遺族の法要や供養が大事かってことにかかってきます。
おもしろい。
ちなみに、まちこのお家ではつい先日三十三回忌をやりました!
家族・親族集まってどうこうはしませんでしたが、お寺に卒塔婆をお願いしました。
田舎はまだまだこうした風習が残っています。
ご先祖様まだまだ頑張ってみるよ~
実はお歳暮のご先祖様供養のための大切な法要儀式。
興味を持たれた方はこちらの記事もどうぞ!
舌は抜かない閻魔様~まとめ~
閻魔様は舌を抜くことで有名ですが、実は舌は抜く人ではありません。
舌を抜くのは、閻魔王の前の裁判官である五官王です。
そして、地獄行を決定するのも閻魔王でなく、次の変成王。
少しずつごっちゃになってしまい、閻魔様だけとっても有名になってます。
なぜなら、初回秦広王から順次引き継がれる死者の罪状が書かれている書類が「閻魔帳」というから。
そしてこれをもとに次の転生さきが決定されるからです。
だから閻魔さまが冥土の王と呼ばれるようになったんですね。
このように「十王信仰」は、閻魔王個人の信仰とされがちですが、本当は10人(もしくは13人*1)もの裁判官で成り立っている信仰。
初七日や七七日の理由もこの十王信仰から来ているし、こうした法要が多いのも昔の人の故人に対する思いの表れ、一つの知恵の表れといえます。
誰だって、死んだら天国に行きたいと願います。
それは故人本人だけでなく、遺族もそれを願っています。
お葬式がどんどん簡略化されているのは、これ時代の流れです。
おそらく、七回忌や十三回忌、ましてや三十三回忌などはやらなくなってくるのではないかな。
※ちなみにこのあと、三十七回忌、五十回忌までやって本当に終了となります。
でも法要供養は、死者への遺族側からの気持ちの表れです。
もし、無くなって行ってしまうにしても、わたしたちは少しでもこうした形に意味があるものと知っておくのがベターではないかなぁと思います。
これも名もない文化の財です。
悲しいかな意識することはありませんが。
以上「おらがまち」まちこでした。
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*1:蓮華王(れんげおう)―七回忌(6年後)本当の姿:阿閦如来(あしゅくにょらい)、祇園王(ぎおんおう)―十三回忌(12年後)本当の姿:大日如来(だいにちにょらい)、法界王(ほうかいおう)―三十三回忌(32年後)本当の姿:虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)