こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
今回は「水引(みずひき)」をご紹介。
伝統工芸品として最近注目を集めてきた水引ですが、実は荷物の目印につけたのがはじまりといわれています。
形や色、知っておくべき基本的なマナーから水引の工芸品などをご紹介。
「文化財」としても地位を築きつつある「水引」。
ではでは早速!
水引について
はじまりはただの目印
諸説ありますが、もっとも古い説は飛鳥時代にさかのぼります。
飛鳥時代に中国(当時は隋)に派遣されていた遣隋使が、日本に帰ってくるときに中国の使者も一緒に連れ帰ってきます。
この人を答礼使といいますが、遣隋使から中国へ親書を送り挨拶をした、そのお礼としてやってくる役目があります。
この答礼使が持ってきた帝(天皇)への献上品に、麻紐が結んであったそうです。
これが水引のはじまり。
また、室町時代に中国(当時は明)からの貿易品に目印として紐が結んであり、これを日本人が贈答の習わしと勘違いして用いるようになったことがはじまりとも言われています。
ほかにも魔除けの意味がある、仕切りの意味がある、人と人を結びつけるなど様々。
どの説にしても「ものを送り合う」関係の中で生まれたものに違いはないようです。
そのため現在では、祝事や仏事など節目のイベントなどで使用されることが多く、表書きや結び方で意味が違い、そこから送り手の云わんとしていることが読み取れるという、面白い包装手段といえます。
なにから出来てる?
ずばり、「和紙」。
あの細いカラフルな色彩の糸は針金できていると思ってしまいますが、和紙をこより状にして細くしたものです。
強くしなやかで、丈夫であることが特徴。
そのため和紙の生産地で作られることが多く、特に長野県飯田市は現在でも日本の水引生産の大部分を担っていることで知られています。
飯田市は平安時代から和紙を献上していたことがわかっていて、江戸時代には藩主が水引を武士の内職として推奨するほど。
余談ですが、和紙は古来からの重要品。
日本の文化財を守るためにも現在でも引き継がれ、技術や伝統は大切にされてきました。
でも木を育てるって大変なこと。
長野は木曽ヒノキなどが有名な木の産地だったんで、和紙の製造がとっても盛んでした。
どうやってつくる?
まず和紙を細かく切って、こより状にします。
それを糊で塗り固め(「のりをひく」ともいう)、乾かしたものが細い一本の水引のもととなります。
この和紙白色のまま使用することもありますが、色をつけたり、金銀の薄紙をさらにそこに巻きつけたり、細かな繊維状のものを巻きつけ装飾。
1本だけで使用することはまれで、複数本まとめつくりあげることが多いです。
祝い事には基本的に5本、7本などの奇数、結納など結婚祝いなどでは10本が一組。
数によって縁起を担ぐわけです。
慶事には金銀、紅白、金赤、弔事には銀、白黒、白銀、白黄が基本。
2色の組み合わせの時は、向かって右を濃色にして結ぶのが古くから守られてきたしきたりとなります。
種類はどんどん増えて来ている
基本の色
上にも書きましたが熨斗袋(のしぶくろ)などの場合、慶事や弔事で使用される色は変わってきます。
- 慶事:金銀、紅白、金赤
- 弔事:銀(双銀)、白黒、白銀、白黄
これは絶対的な基本マナー。
うっかり間違えると恥ずかしい思いをするだけではすみませんので、気をつけましょう!
ほか工芸など細工で使用される色は多種多様。
パステルカラーのものがあったり、細工を作る上で困ることがないほどたくさんあります。
しかし、基本水引は贈り物をし合う中で必要とされて来たもの。
水引の細工品を誰かにあげるのなら、やはり色には気をつけましょう。
誕生日プレゼントなのに白と黒とかでは残念なことに・・・
色選びや質感などを知りたい時は、このようなお試しセットがおすすめ。
結び方はこれだけ覚えよう
細かく分別するとわかりづらくなりますので、一般的に使用されているのは以下の3つ。
イラストの左から順番に記載します。
- リボン結び(蝶結び・花結び)・・・「何度あってもいい」慶事のみ
- 結び切り・・・「一度で終わる」慶事・弔事ともに使用
- あわび結び(あわじ結び)・・・「二度ないように」慶事・弔事ともに使用
イラストではすべて紅白なのでおめでたい時の場合ですが、結び方が同じでも色が違うと意味も大きく変わってきます。
全部細かく覚えるのはとても大変なので「結び方は3つ」「慶事は紅白、弔事は白黒」と覚えておくだけでも随分役に立ちます。
工芸品として地位を確立
大正時代、金沢水引の職人であった津田左右吉が、今までの平面的な水引から立体的な水引にし、工芸品の分野へ進出。
この技術をもとに大いに発展し、アクセサリーなど身近なものもつくられるようになりました。
そしてこの水引細工を世界に知らしめたのは、冬季長野オリンピック。
パラリンピック入賞者に水引で作られた月桂冠が授与され、参加選手や報道関係者にも水引細工が記念品として贈られました。
今や世界中ネットでつながっていますが、最近は海外からの発注もとても多いんだとか。
お正月や結婚式など、おめでたいときなどに良く似合うものが多いです。
場を華やかにしてくれるのが水引細工のすばらしいところ。
番外編:お相撲さんの小結
お相撲さんの髪の毛を結ぶ紐も実は水引です。
ゴムではありません。
今でこそ着物を着る時に髪を結いゴムで結ぶ、のが普通となっていましたが、昔は当然のことながらゴムなんてありません。
伝統を守る職業の方、お相撲さんや舞妓・芸妓さんなどは今でもこうした水引で髪を結っています。
ほどける水引は縁起が悪い?~まとめ~
以前、かわいいからと水引のブローチを購入したことがあります。
※この写真は実際に購入したブローチではありません。
ところがつけ始めて数日のことです。
接着剤が!
とれる!
ひもが!
ほどける!
水引は「ほどけない」ことが信念では!
あれよあれよという間にボロボロになってしまいました。
きっと接着剤で無理矢理くっつけてあったからですね。
水引を作る上で接着剤は本当に仮止めくらにしか使いません。
それを接着剤ありきでつくっているとこうなってしまうようです。
もし水引のアクセサリーなどを購入する場合は、職人さんが一つ一つ手作りしたものを購入してあげて下さい。
「水引がほどける」ってなんか縁起が悪いですから。
また、こうした専門店で購入したご祝儀袋などの水引は、取って置いて飾ると十分立派なインテリアになります。
結婚式でもらったご祝儀袋を捨てるのが忍びない方などは、水引を思い出の品としと保管しておくのもいいと思います。
また、どんなに腕のいい職人さんがつくっても、ほどいてしまうと元に戻ることはありません。
興味本位で水引をほどかないようにしましょう。
ちなみにまちこも自分で作ることも一時考えましたが、これは断念。
微妙な力加減が必要で、思ってたより難しかった。
素材は色々なところで売っていますので、気軽にはじめられます。
興味のある方は本屋さんで作り方のレシピなどがありますので、のぞいてみてくださいね。
↓ たぶん何よりも苦労するのは結び方だと思います(経験者談)
手先の器用な人に直接教えてもらうか、こういった本などを参考にしないととてもじゃないが結べません!
今では趣味として水引を作る方が増えて来ています。
贈答の中だけのやりとりでなく、水引は様々なところで利用されています。
色々な人に知ってもらうことが「文化を維持・継承」することにつながります。
ただの箱の目印が、こうして世界中の人が知る工芸品にまでなったのはすごいことですよね。
かわいいものたくさんありますので気軽に手に取ってみて下さい~
以上、「おらがまち」まちこでした。