こんにちは。
弱小文化財応援サイト「おらがまち」まちこです。
お寺を中心とした珍しい祭礼、館山市那古の祭礼についてご紹介します。
この中で一番古い山車を所有する地区「大芝」。
では早速見てみましょう！
補陀落山那古寺
坂東三十三観音の札所で結願寺（最後の札所のこと）で、今回ご紹介する那古祭礼の中心寺となるお寺。
国や県・市の指定文化財が多く残されていて、館山市の文化財的資料としての価値もある歴史あるお寺でもあります。
縁起等について
創建は養老元年（７１７）。
那古の海より出現した香木に、行基が千手観音を彫り、病気平癒を祈願したことが始まりとされます。
その後慈覚大師（７９４～８６４）が廃れていた那古寺を中興*1させます。
那古寺の最初の規模はそれほど大きなものではなく、慈覚大師以前は「原型」となる寺院であったと考えられています。
現在の様に七堂伽藍（しちどうがらん：本堂・三重塔・閻魔堂・鐘楼・地蔵堂・阿弥陀堂・仁王門）の形になったのは鎌倉時代に入ってから。
秀圓上人（１１９９～１２０９）というお坊さんが真言密教の道場として「補陀落山千手院」を立ち上げたことで発展。
那古寺関連の資料は大変豊富で、境内の絵図や、仏像の墨書、建物の棟札など数多く残されています。
那古寺のみならず、館山市の地元の歴史をを探るのにとても重要な寺院。
その中でも「補陀落山那古寺縁起」は秀圓上人が生前書き上げた古記を、弟子の頼覚が書き直した歴史的にも価値のある資料でもあります。
那古寺は、里見氏や徳川氏の崇敬を受け、安房の国の総社（現：鶴谷八幡宮）の別当寺（神社を管理するお寺）となります。
明治維新に入るまで鶴谷八幡宮に多大な影響を与えてきました。
やわたんまち（安房国司祭）も法会など仏教式の強い祭礼であったといわれています。
金毘羅神社
那古の祭礼は那古寺を中心に行われていますが、大芝は「金毘羅神社」が鎮守。
御祭神は「大物主神（おおものぬしのかみ）」。
残念ながら神社の由緒等はわかっていませんが、航海安全や海難救助など漁業者の信仰を集めていたようです。
大芝の金毘羅神社が建っている場所は、昭和４０年ごろまで塚状になっていて「魚見塚」と呼ばれていました。
ここから海上を見て漁場の確認をしていたことがわかります。
また、社殿の中には江戸時代に一般庶民にも広まった「庚申信仰」の庚申塔が祀られています。
「庚申信仰（こうしんしんこう）」とは中国道教発祥のもので、江戸時代に入ると一般庶民に間に普及し広まった民間信仰。
人間の体内には「三尸九虫（さんしきゅうちゅう）」が住んでいて、６０日毎庚申の日の夜に天に昇って、天帝にその人の罪を報告。
天帝はこの報告をもとに人の生死を決めるため、三尸九虫が体内から離れるの防ごうと人々は徹夜をするようになりました。
「守庚申」「庚申待」ともいい、庚申塔はこれを３年連続（年間６～７回）行った記念に造立。
大芝の金毘羅神社に奉納されている庚申塔は、三猿を伴った六臂青面金剛の彫られた石塔や文字塔など複数が安置されています。
三猿が登場するのは、庚申の「申（さる）」や青面金剛の眷属が猿であることに由来。
那古地区祭礼
むかしは「那古の七祭（ななまち）」として、那古地区の各々の神社で祭礼が行われていました。
やがて山車が作られようになると、同那古の東藤と柴崎が鶴谷八幡宮に山車をともない参拝。
その後大芝、浜、寺赤、宿が順次山車を製作し、この行事に参加。
那古地区の祭礼に関しては東藤に多数の資料が残されています。
年番の順序や世話役たちによる協議会などが記載され、明治時代の祭礼の様子を知る貴重な史料でもあります。
それまでバラバラだった那古地区の各祭礼を那古寺の祭礼に合わせて行うようになった経緯も記載。
那古の祭礼はもともと７月１７・１８・１９日でしたが、これは那古寺の本尊でもある「千手千眼観自在菩薩（千手観音）」の縁日１８日に合わせたためです。
この祭礼のかたちになったのは明治に入ってからと記されています。
ちなみに「縁日（えんにち）」というと神社などのお祭り、出店などのかき氷やポテトなんかを売っているお店と連想されがちですが、本来は違う。
「縁日」とは、神社やお寺の祭神などの誕生日や降臨した日など、仏や神様に縁（ゆかり）のある日のことをいいます。
その日にお参りすると、普段以上のご利益が得られるとされていて、那古の人たちもこれを思ってその日に変更したようです。
祭礼日は７月１７、１８日を祭礼としていましたが、昨今の曳手不足などにより７月の中旬土日に開催に。
毎年周辺の祭礼事情によって多少の前後があります。
大芝の山車とは
明治３２年（１８９９）造立の山車といわれていますが、詳細は定かではありません。
那古地区現存する４台の山車の中では一番古い山車で、館山市の中でも古式の山車です。
人形は三種の神器を持つ「神武天皇」。
彫刻は無銘ではありますが、記録によると後藤喜三郎義信が彫りいくつかを完成した後他界してしまったので、後藤実によって引き継がれたとされます。
以前の山車は明治１９年（１８８６）に館山市北条より購入し、人形は鼠屋五兵衛による「徳川家康」だったと伝わります。
彫刻・人形の写真など
後ろ側面
＜ 参考文献・サイト ＞
- 那古史（平成１９年：那古史編纂委員会）
・ふるさと納税で文化財を守る。弱小文化財を守る一石三鳥の利用の仕方
・汗だくの体には塗る日焼け止めはもう古い！夏祭りに必需品のインナーパラソル16200（広告）
・南房総のお祭り一覧。全部見るには何年もかかるので、ご参観は計画的に！
・金運アップ習慣【お財布専用ふとん】 
（広告）
あなたも自分の地元のお祭りをネットで情報発信してみませんか？
同志たちよいざ行かん！
*1:一度途絶えていたものを再び復興させること
