こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
「神前式(しんぜんしき)」で結婚式をされた方、したい方。
神前式って、とっても粛々な感じがしていい雰囲気。
ちなみにまちこも神前式で結婚式やりました!
でも意外と知らない神前式。
白色が好まれるのは日本人だから!
三三九度の本当の意味!
飯は絶対に食うべし!
などなど。
今回は「日本人の知らない結婚式の本当」を歴史オタクまちこが解説。
それでは早速!
神社での結婚式
神前式の歴史
今のような一般の人が知っている「神前式」が始まったのは、大正天皇が行った東京大神宮での結婚式だと言われています。
「私も同じような結婚式がやりたい!」って人がたくさんいたことで広まって行きました。
明治33年(1900)のことなので、まだ100年ほどしかありません。
神社での結婚式なのでとても古いと思われがちですが、まだまだ歴史的には新しい挙式スタイルなんです。
そもそも結婚式っていつからやってるの?
そもそも「結婚式」というスタイルが出来上がったのは、「古事記」の中の神様の時代になります。
イザナミとイザナギが地上に降り立った目印として棒(天の御柱(あめのみはしら))を立て、その周りを回り、さらにお互いを見て「あら素敵」「なんとかわいい」って言葉を交わしたことから、「結婚」というものが成立しました。
昔の結婚式っていうと、両家酒を酌み交わすって感じの時代劇がよくありますが、これは室町時代に始まった作法。
それ以前は夫が妻の家に通う「通婚」などもあり、形式は様々でした。
しかも、「一夫一妻」になったのは明治時代。
長い事「一夫多妻」が認められていましたし。
結婚というのも今とちょっと考え方が違っていました。
私たちが「結婚式」と想像するものは、ごくごく最近のもので、どれもまだまだ100年ほどの歴史しかありません。
神前式の流れと儀式の本当の意味
下に項目がずらっと並んでいますが、名前だけでは一般人にはほぼ理解不能です。
簡単に進めますが、興味のある方はそれぞれのワンポイントも読んでみて下さい。
参進の儀(さんしんのぎ)
参列者が並んで拝殿へ向かいます。
いわゆる「花嫁行列」です。
本当の意味は・・・神様の前に進み出ること
「参進」とは、神様の前や偉い人の前に進み出ることをいいます。
新郎新婦、両家両親、親族の順に並んで参道を進み拝殿に入るのが普通。
参道というと神社の前の出店などが並ぶ道路と思われるかもしれませんが、本来は神社の中(境内(けいだい)の結界内のことを指します。
現在の花嫁行列は鳥居から境内を通り拝殿までというのが普通です。
ちなみに本殿は神様が坐する場所なので、一般人が入れるのは拝殿まで。
修祓の儀(しゅばつのぎ)
参列者は心身を清めるためにお祓い受けます。
本当の意味は・・・身を清めることが基本
「修祓」とは式を始める前にお祓いすることで、「しゅうふつ」「しゅうばつ」ともいいます。
頭を下げた状態で、神職が祓詞(はらえことば)を述べ、大麻(おおぬさ:榊の枝に麻と紙垂をつけた道具)、切麻(細かく切った麻と細かく切った白紙を混ぜた道具)、お米、塩、塩水などを用いてお祓いを行います。
結婚式に限らず、神社では冠婚葬祭では必ず行われます。
一般的なのは、頭を下げたまま大麻を振る形が多い。
献饌の儀(けんせのぎ)
神前にお供えもの(おそなえもの)供えます。
省略されることもありますし、事前に行われている場合も。
本当の意味は・・・神様と一心同体になる
「献饌」とは神前にお供えものを供えることで「けんせん」ともいいます。
お供え物は「神饌(しんせん)」とも呼ばれ、今でこそ果物や魚など生鮮食品を上げますが、本来はちゃんと料理加工されたものを上げていました。
供えたものは参列者が食べたり持ち帰ったりして、神様と食事を共にしたという一体感から神の加護を受けれます。
儀式の後に持ち帰りが可能だったりしたら、それを食べて初めて「献饌の儀」は完了しますので、ちゃんと食べましょう!
神様との一体とは?
祝詞奏上(のりとそうじょう)
神職が結婚を神に奉告(ほうこく)します。
本当の意味は・・・神様に報告
「祝詞」は仏教でいうところのお経のこと。
神様を讃えるものであったり、神様にお願いをする文章であったりします。
祝詞は経本の様な本ではなく紙で袋に入れられています。
神事の一番初めに行われる「祓詞」も祝詞に含まれます。
誓詞奏上(せいしそうじょう)
新郎新婦が誓いの言葉である誓詞を読み上げます。
新郎が全文読ん新婦は名前を言うだけ。
全文覚える必要はなく、ちゃんとカンペ紙ありますのでご安心ください!
本当の意味は・・・自分たちで神様に報告
祝詞奏上が神主さんからの報告なら、自分たちで神様に報告することです。
三献の儀(さんこんのぎ)
三三九度(さんさんくど)を行います。
本当の意味は・・・堅めの酒ぜよ
「三献」と「三三九度」は同じ意味で、男女が同じ酒を飲み交わすことです。
初めに男性が三度、次に女性が三度、最後に男性が三度の合計九度飲みます。
日本では共に食事をすること同じものを食べることで、相手と一体化するという考えがあります。
三献の儀は夫婦が一体となることで、先に行う献饌の儀は神と一体になることを意味します。
神楽奉納(かぐらほうのう)
巫女がお祝いの舞を踊ります。
本当の意味は・・・神様も楽しんで下され
祝の席に踊りはつきもの。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
榊の枝に紙垂(しで:和紙を細長く切ったもの)をつけた玉串を神前に供えます。
本当の意味は・・・良きにはからってくだされ
一般に榊の根本を神に向かって置きます。
榊は常緑樹で清浄さを表す木で「心清らかに神様の意志に従います」という意味があります。
よく聞く「玉串料(たまぐしりょう)」は、こうした神事(祈祷)の時に玉串の代わりに納める金銭のことです。
「初穂料」はお守りやお礼などとして納める金銭ですが、熨斗袋に何を書いたらわからない時は神社に直接聞くのが一番良いです。
結構いろんな人が神社に直接聞くらしく、変な話相場なんかも教えてくれます。
指輪の交換
新郎新婦が指輪をお互いにはめます。
西洋の文化が入って来てから指輪の交換は始まりました。
親族固めの盃
参列者(親族)全員がお神酒を飲みます。
本当の意味は・・・みんなで頑張ろう!
これも三献の儀と同様に意味があり、共に同じものを食べることで相手と一体化するという儀式です。
三献の儀は夫婦、献饌の儀は神、親族固めの盃は血縁者が一体となるという意味があります。
退場
一同が神前に拝礼し、祝いのあいさつをして退出します。
これらの順番は神社などによって多少前後したり省略されたりすることがありますが、流れ的にはこんな感じです。
儀式にはそれぞれ本来の意味があり、現在は形式だけになってしまっているものもたくさんあります。
それを知っているのと知らないのでは、挙式に対する気持ちも大分違ってくるのではないかな!
神前式の衣装にはちゃんと意味がある
結婚式で注目の的といえば衣装。
特に花嫁の衣装はみんなが注目するところですし、お嫁さん自身もこだわるところです。
和装の衣装にも実はちゃんとした意味があります。
ではでは細かく見て行きましょう!
新婦
白無垢
白無垢と綿帽子
和装の婚礼衣装の中でも最も格式の高い正礼装。
魔除けの意味もあるので基本必ず綿帽子を被ります。
本当の意味は・・・鬼にはなりたくありません
白は清純な色として、嫁ぎ先の色に染まるようにと花嫁衣装の定番色です。
世界中みても日本人ほど白色を好む民族はいないと言われ、古代では白色の服は最高位のものとされ、着られるのは天皇のみでした。
白色は太陽の光の色とされ、神聖なものとして扱われていたためです。
白は神道の精神に通じるものがあり、無意識ながら今の私たちにも引き継がれているものなんです。
白色の婚礼衣装は平安時代から始まり、室町時代に入ると正式な婚礼の法式として白打掛が着られるようになります。
当初は一番上に着る打掛のみが白でしたが、明治時代に入ると黒引き振袖が定番となり、近現代に入って下着から全て真っ白なものへなって行きました。
白無垢と併せて被る綿帽子の原型は中世の女性が小袖を被っていたことに由来し、江戸に入ると小袖が帽子となり、綿帽子へと変化します。
綿帽子や角隠しは、怒りや嫉妬の感情を抑えるための道具と言われています。
室町時代から流行し始めた能楽における女性というのは、「鬼」の象徴とも言われます。
「般若(はんにゃ)」の面を能楽ではよく使用されますが、これは男ではなく鬼の形相をした女。
よく「嫉妬にかられて女は鬼になる」とききます。
古来より女は鬼になりやすいわけです。
そのため、そうした負の感情を抑えるために綿帽子や角隠しを被りました。
鬼と言えば「角」、「角」といえば「頭」っていう発想。
綿帽子も角隠しも諸説ありますが、新郎以外に顔を見られないようにするためとも言われています。
白無垢は、宗教的な観点から発生した衣装とも考えられます。
色打掛
鮮やかな色打掛
華やかできらびやかな色合いや刺繍がされている衣装です。
引き振袖の上にさらにもう一枚着物を着た状態になりますので、大変重たいのが特徴です。
本当の意味は・・・結婚を出来る裕福さの象徴
室町時代に誕生した衣装で、上級武家の女性が小袖に防寒用してきていたことが始まりです。
これがやがて、裕福家の女性の間で婚礼衣装として着用されるようになり、江戸時代に大きく広まったといわれています。
色打掛は歴史の流れの中から出てきた衣装ともいえます。
昔は「赤」が多かったですが、最近は様々な色があるので、式に色を添えるのにもってこいの衣装です。
これにだいたい角隠しをつける事が多いようです。
黒引振袖
黒地の引き振袖で、挙式の時にしか着られない衣装です。
綿帽子同様、魔除けの意味を持つ角隠しを被るのが基本の形となります。
本当の意味は・・・日本人の色へのこだわり
白無垢や色打掛のようなものは、昔は裕福な子女のみが着れたもので、民間では黒に裾模様の角隠しというのが一般的でした。
黒は白と違い暗いイメージがありますが、実はそんな事はありません。
白は「嫁ぎ先の色に染まる」色ですが、黒は「他の誰にも染められない」色です。
つまり、新郎以外の人には染まらないという強い意志の表れの色なんですよ!
かっこいい意思表示ですね!
最近はこの黒引き振袖も人気が復活してきているようです。
理由を知って選んでいるなら、その人なおかっこいいです。
※角隠しや綿帽子の由来等については「白無垢」を見て下さいね。
新郎
五つ紋付羽織袴
代表的な五つ紋付羽織袴
男性の第一の礼装とされる和服です。
紋付の長着に袴をはき、紋付の羽織を着けるのが普通です。
本当の意味は・・・先祖代々引き継ぐもの
この姿を見れば、すぐに時代劇を思い出します。
起源は江戸時代で、当時から格式を重んじる行事で着られていました。
結婚式のいずれのスタイルも日本の衣装の歴史の中から引き継がれたものばかり。
それぞれ基本的な形はあるものの現在では様々なアレンジがされています。
白無垢でも綿帽子を被らない、和装風のドレスなどを着るなど、神社でもあまりこだわらないところもあるようです。
近くの神社が一番大事
そしてなにより本当の意味をあまり知られていないのが神社の存在。
「有名どころのホテルだから」
「みんなの中間にある神社だから」
そんな理由で神前式の神社を選んだりしていませんか?
間違い、ではありませんが、実は自分にとって最良の選択ではありません。
自分にとって一番大事な神社で結婚式を挙げるのがもっとも最適。
それは自分の生まれた場所にある神社。
お嫁に行くなら、旦那さんのお家の鎮守。
なので、出来る事ならそこの神主さんにお願いして神前式を行うのが一番いいです。
もし難しいなら、親族だけ、もしくは両親兄弟、もしくは二人でも構いませんので、必ず一言そこの神様にお参りすると、そこの地で安心して過ごすことが出来ると言われています。
詳しくは「地元の神社が一番大事」の記事へ!
地元の神社に報告が済んでいないあなた!
早速お参りに行ってくださいね~
結婚式、とくに神前式には日本の歴史が詰まった本当の意味があります。
知っているととっても面白い!
以上「おらがまち」まちこでした。