こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
神社の有名どころといえば「伊勢神宮」や「出雲大社」をすぐに思い出します。
実はこの二つの神社には、秘密がたっくさん隠されています。
書き出したら1カテゴリーが出来てしまうほど。
今回は伊勢神宮の天照大御神と出雲の祖神のお話。
これでなにがわかるって?
出雲の一族は天皇家と親戚関係かもしれないってこと。
それでは早速ひも解きしてみましょう!
伊勢神宮と出雲大社の神様
伊勢神宮と出雲大社って、なんでこんなに有名なんでしょう。
伊勢神宮は日本で最高神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が祀られているので、全国区で知られています。
じゃあ出雲大社は?
縁結びの神様で女子に人気だから?
寝台特急サンライズ出雲のCMで有名になったから?
10月の全国の神様が出雲大社に集まるから?
どれも少なからず理由の一つではあると思います。
でも、根本的に大きな理由があります。
それは、出雲大社に祀られている神様が、伊勢神宮と対(つい)になる関係にあるからです。
理由を知らなくても、日本人なら伊勢神宮と出雲大社は絶対知ってますよね。
それは昔からこの二つが共に取り上げられることが多かったからです。
だからおのずと「伊勢神宮と出雲大社」とイメージしていしまうわけです。
ではなぜ共に取り上げられることが多かったんでしょう。
天津神と国津神
簡単にいうと、伊勢神宮は「天津神(あまつかみ)」という神様のグループの代表神の神社で、出雲大社は「国津神(くにつかみ)」という神様のグループの代表神の神社だからです。
「天」「地」と書かれている時点で、なんだか「対(つい)」の関係にありそうですすが、この辺に古代のドラマが隠されています。
実は、伊勢神宮の天照大御神が最初から日本を管理していたわけではなく、当初は「大国主神(おおくにぬしのかみ)」という神様がこの日本という地上を管理していました。
それを天照大御神が自分に譲るようにいいます。
そこですったもんだがあり(長くなるので割愛)、大国主神は結局天照大御神に地上を譲ります。
これがいわゆる「国譲り(くにゆずり)」というものです。
大国主神は、国を譲る代わりに「ちゃんと神殿を建てて自分を祀ってくれないと、もともと地上にいた神さまとあばれるぞ!」といったので、天照大御神は自分の子供を遣わしてこれを祀りました。
こうして出雲大社が成立します。
「もともと地上にいた神さま」ってのが、「国津神」といわれる神様たち。
そして、天照大御神を中心とした天上の神様たちを「天津神」といいます。
これは古事記から抜粋したお話です。
出雲大社の誕生話をするとどうしても伊勢神宮、天照大御神が登場しなければならなくなります。
伊勢神宮と出雲大社が同時に取り上げられることが多いのは、こういう理由があるからなんです。
天之穂日命って誰?
天照大御神によって出雲大社を祀るようにいわれた子供は、天之穂日命(あめのほひのみこと)といいます。
出雲国造の祖神でもあります。
国造(くにつくり)ってのは昔の官職みたいなものですが、一言でいえば出雲地方にいた一族のこと。
お、伊勢神宮とつながった、と思いますが、さらに続きがあります。
天之穂日命の兄で、天之忍穗耳尊(あめのおしほみみのみこと)という神様がいます。
天之忍穂耳命の子供は瓊瓊杵命(ににぎのみこと)といって、地上に降りて天皇家の直接の祖神となっています。
つまり神様だけでみると、出雲大社を祀る一族は伊勢神宮と従兄関係、天皇家とはかな~り近い親戚関係ってわけです。
ここで気をつけなければいけないのは、出雲大社に祀られている神様は「大国主神」であるということです。
出雲大社に祀られている神様とそれを祀っている一族が同じようにとられてしまいがちですが、全くのべつもの。
そもそもこの天之穂日命は、大国主神を説得するように地上に使わされたのですが、あんまりにも大国主神を好き(変な意味ではありません)になってしまったので、天上への報告を3年もしなかった神様です。
大好き過ぎたゆえに、出雲大社の霊威をもってして、あたかも出雲の神様として国津神を管理し代々存続してきたので、国津神的な扱いを受けがちですが、本当は天津神です。
本当に大国主神のことが好きだったんですね。
でもこの大国主神って大変魅力のある神様だったようで、天之穂日命だけでなく、須佐之男命(すさのおのみこと)も大国主神を助けてあげたりしますし、天之穂日命のあともたくさんの天津神が地上に説得のために派遣されますが、ことごとく魅了されてしまってみんな天上に報告をしなかったそうです。
裏を返せば、それだけ大国主神に「力」があったからだともいえます。
今でこそ、伊勢神宮が日本最高神の神社とされていますが、本来は出雲大社に祀られている大国主神が日本での最高神だったんですね。
伊勢神宮と同等の位置づけであるといっても過言ではないため、わたしたちは理由をしらなくても、「伊勢神宮と出雲大社」といっしょにイメージしてしまうことが多いというわけです。
神社建築からもわかる伊勢系・出雲系の違い
ドラマチックで面白い両社~まとめ~
と、古事記や神様ベースに伊勢神宮と出雲大社との関係をひも解いてみましたが、これを実際の史実と照らし合わせてみても面白い一面をみることができます。
伊勢神宮を大和朝廷とし、出雲大社を出雲地方として考えても、出雲からは翡翠や青銅また砂鉄などもとれ、資源国家であり、ものを生み出す力が大変強い国でした。
だから、朝廷側としても、警戒していたし重宝もしていました。
なので、祭祀を行う上でも、武器を確保する上でも、もちろん神社の関係の上でも、出雲は重要な位置づけとなります。
出雲は古代から力を持った国であったことは間違いないようです。
ちなみに10月は「神無月」となり神様が不在となりますが、出雲だけは「神有月」となり、全国から神様がやってきます。
では、伊勢神宮の天照大御神はどうかというと・・・
伊勢神宮にいるそうです。
わざわざ行かないんだとか。
とはいっても、日本の神様は場所や時間軸は全く関係ありませんので、瞬時に現れることが可能です。
昔は敵?味方?君主?家臣?の関係であったとしても、結構いい加減な日本の神様。
お互い行き来してるなんてこともありそうです。
これはあくまでも想像と空想のお話。
ただ、現在も皇室関係者でも出雲大社の本殿の中に入ることは許されていません。
伊勢神宮と出雲大社はワンセットで登場することが多いので、わたしたちは自然この両社を知ることとなります。
でも理由はほとんどの人はわかりません。
ともに長い歴史を持つ両社です。
式年遷宮両社ともやってますしね。
これからも末永く存続することを願って止みません。
伊勢神宮だけでなく、出雲大社も天皇家とも縁がある、なんて面白くドラマチックじゃなかったですか?
以上「おらがまち」まちこでした。
↓ 神社や神様の設定がよく出来ている漫画。わたしが言うのもなんですが。