こんにちは。
弱小文化財応援サイト「おらがまち」まちこです。
今回は神社建築について。
神社というと結構身近で、近所のすぐ近くにお社があったりします。
でも、その神社をよくよくみることってあんまりありません。
というわけで、この記事では神社の建築の見どころをご紹介。
それでは早速!
その神社、入口はどこにある?
神社の御神体が納められている所を「本殿(ほんでん)」といいます。
この本殿をみることで、その神社がどの系統の神社の様式で建てられているのか確認することができます。
では、どこを確認するのかというと、それは入口のある位置。
古式で作られている神社は、基本屋根は「切妻造(きりづまづくり)」となっています。
上の写真のような屋根の形です。
2面の傾斜で作られている屋根で、屋根部分が無い面を「妻(つま)」、屋根の部分がある面を「平(ひら)」といいます。
平入りは伊勢系
「平(ひら)」に入口に設置がされている建物を「平入り」といい、この様式で作られている神社を「神明造(しんめいづくり)」といいます。
伊勢神宮系の系統の神社はこれに属します。
妻入りは出雲系
反対に「妻(つま)」に入口がある建物を「妻入り」といい、この様式で作られている神社を「大社造(たいしゃづくり)」といいます。
写真の様な神社になります。
大社造というくらいなので、出雲大社系の神社はこれらの神社が多いです。
日本最古の建築様式といわれています。
伊勢系・出雲系をベースに展開
この2つの造りをベースに、いろいろな造りが展開していきます。
平入りの神明造の仲間に流れ造、八幡造、日吉造などがあります。
妻入りの大社造の仲間には大鳥造、住吉造、春日造などがあります。
伊勢神宮だけは「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」として、他のどこの神社も真似をしてはいけないとされています。
これらの様式を忠実に残しているのは、定期的に改修、新築を行う「式年遷宮」を行っている神社に多いです。
ただし、時代時代の良い部分を取り入れたりすることもあるため、全て絶対という保証はありません。
大きさ、場所、様式を代々語り継いでいるのは伊勢神宮くらい。
古式の様式を継承するというのは、とにかくお金がかかります。
伊勢神宮クラスになると、1回の式年遷宮での費用は550億円ほど。
昔はどこの神社でも定期的に建て替えが行われていましたが、一地方の一神社では、なかなか難しいです。
と、神社の様式は様々なものもあり、また諸事情ありますが、妻入りなのか平入りなのかだけでも見るだけで、大変面白いですよ。
とにかく古い様式の神社がみたいんだ!
という方は、伊勢神宮に行きましょう。
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屋根に注目
もう一つ本殿の外見から注目するところがあります。
それは屋根の上に飾られている部材です。
千木
屋根の両端でクロスしている木があります。
これを「千木(ちぎ)」といいます。
以前は屋根を補強する部材でしたが、徐々に装飾の意味合いが強くなっていった部分です。
よく見ると、上部の切り込みの部分が地面と垂直のものと、平行のものがあります。
この角度によって、神社に祀られている神様の性別がわかります。
垂直に切られている千木を「外削ぎ(そとそぎ)」といい、男神。
平行に切られている千木を「内削ぎ(うちそぎ)」といい、女神。
こちらの写真だと地面と水平、つまり平行なので「内削ぎ」となり、こちらの神社は女神さまがいらっしゃる。
と、されていますが、全部が全部これにあてはまるわけではありません。
また、俗説にすぎないという解釈もありますので、こちらは参考程度に。
さらに千木の中にも屋根を突き抜けてクロスしているものは古式のもの。
屋根の上部にちょこんと乗っているものは「置き千木」といって、装飾として後世に出来上がった形となります。
掲載した写真は「置き千木」。
鰹木
千木と同様、こちらも男神・女神を見分けることができるとされています。
とはいっても、これまた俗説とされていますので、参考まで。
「鰹木(かつおぎ)」は屋根の棟に並んでる丸い木です。
千木と同じで、屋根を上部から抑える補強の部材でしたが、やがてこれも装飾の一部となっていきます。
数は2~10本までいろいろ。
神社によって数は変わります。
千木も鰹木も男女神の見分けをすることが出来るという説が出てきてしまったのには、理由があります。
それは、伊勢神宮のすべての宮がこれにのっとって作られているからです。
なので、全国の神社もこれにならって建てられていることが多いから。
伊勢神宮に行ったら是非みてみてくださいね。
どれにも属してないって?~まとめ~
民間信仰に属してしまうと、どの系統に属さない場合もあります。
また、近代になるとどのくくりにも属さないものも多く建てられるようになりますし、近所にある小さな神社や歴史の浅い神社などにも、これは当てはまりません。
こうした建築様式でくくることが出来るのは、歴史が古い神社、建物自体が古いもの、また古式を継承しているものなどに限られます。
伊勢神宮などのように、完全に古代の様式を継承する「式年遷宮」などでもしていない限り、時代時代のいいとこどりをしているのがほとんです。
また、神社とお寺の様式を合体させたようなものもあります。
伊勢神宮の系統でも、出雲系の建築様式だったりすることもあります。
神道のいいところは、結構あいまいなところ。
それは建築様式にもあてはまります。
無理矢理あてはめると、結構矛盾がでてきてしまうので、なんとなく「あ~この様式で建てたのね~」くらいの感覚で良いと思います。
ところでお家の中に神棚はありますか?
ちゃんとした神棚だと、これをちゃんと踏襲した形のものもあります。
ちなみに伊勢系・出雲系が二大主流となるのには歴史的・神話的背景が大いに関係しています。
詳しくは、伊勢神宮と出雲大社の関係の記事をどうぞ!
ご近所にある神社は、どの系統にあてはまりましたか?
お家の神棚はどうでしょう?
今度ゆっくり神社建築をみてみてくださいね!
以上「おらがまち」まちこでした。