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神棚の向きは気にしない?神棚の飾り方は神社を思い出せば解決できる。昔の人の知恵を知ろう!

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こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」の管理人まちこです。

 

もし毎日神社に行ってお参りしなさいと言われたら、普通いやですよね。

昔の人も同じことを思いました。

 

しかも信仰する神社が遠いところで、行くのにはわざわざ旅費を出して行かなければならないなんてなったら、いわずもがな。

せっせと足しげく通うのは難しいと思います。

毎日毎日なんて無理な話になってしまいます。

 

でもそれを可能にする方法があります。

 

それが「神棚」。

 

今回は「神棚」とは一体なんぞや、というお話をまとめてみたいと思います。

神棚は小さな神社

kamidana-jinja

神棚はただ神様を祀り「家を守ってもらうもの」という感覚が大きいと思いますが、本来は自分の信仰する神様を「自宅に招くこと」なんです。

 

日本の神様は「八百万(やおろず)」と言われるほど数が多い。

 

それぞれの神様の祀られている神社に毎日毎日行くことはとても大変、というか非現実的なお話になってしまいます。

 

神社に住めれば話は別ですが。

 

この「神社に住む」ってのは不可能ですが、実は神社を「自宅に作る」ことは可能。

 

昔の人もこう思ったはずです。

 

いくら信仰心があっても、神社に毎日行くのは大変。
ああ、もっと神様がそばにいてくれれば

 

そうだ!
自分の家に神社を作ってしまおう!
毎日手を合わせられるし、家を守ってもらえる!

 

そこで出来たのが「神棚」です。

 

しかも、日本の神様は大変便利なことに「依代(よりしろ)」があれば、全国津々浦々、どこにでも馳せ参じることが可能なんです。

 

なんて便利な。

 

神棚には必ず「お札」が入れられています。

これが神様の依代になります。

 

なのでお家に神棚がある場合、それはイコール「神社」ということになります。

もちろん神社にも依代になるものがあります。

代表的なものは「鏡」や「御神木」「岩」「山」であったり、お札よりもっとスケールが大きいものです。

 

ちなみに神棚がちょっと大きくなると、家の外にある「祠(ほこら)」になって、小さなお社になります。

これも意味合い的には神棚と同じ。

神棚の歴史

神棚の原型は「古事記」にまでさかのぼることができます。

 

天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、父神である伊弉諾命(いざなぎのみこと)からもらった宝物を棚に置いて祀ったことがはじまりと言われています。

 

が、これは書物の中のおはなし。

 

神棚の歴史は案外新しくて、江戸時代中期に伊勢参りなどが流行ってからです。

この時に、伊勢の信仰を全国に普及して回った御師(おし・おんし)がいます。

 

御師はお札を配りまくって信仰を広めていったので、このお札を置く場所が各家で必要になったんです。

ここから現在の思う実用的な「神棚」が誕生。

 

「お札(おふだ)」と「お札(おさつ)」の関係もここから複雑化していきます。

詳しくは、おふだとおさつの違いの記事へ。

www.oragamati.com

 

 

御師は中世鎌倉時代頃から活躍していたようですが、訪れていたのは上流階級のお家がほとんどでした。

わたしたちが今思うような神棚より、神社を建ててしまうような方たちだったので、神棚の原型はまだまだみれません。

 

それ以前の古代には神様を個人の家に招くなんておそれ多いことでしたから、どんなに大変でも神社にお参りに行くのが普通でした。

 

なので、冒頭で紹介した昔の人は、江戸時代中期の一般庶民って思ってください。

神棚の飾り方

kamidana-kazarikata

では、神棚の飾り方にルールはあるんでしょうか。

 

基本神様はあまり細かいことは気にしません。

でも、最低限必ず守らねばならない事があります。

 

以下にまとめてみました。

神棚の形

上写真のように「三社神棚」といって、扉が3つあるのがよいです。

 

ただしこの型は大型のものが多いので、もし設置場所が小さいのであれば、「一社神棚」でも構いません。

 

この2つは建物型の神棚ですが、お札だけを設置するものもあります。

神棚にも色々なものがあります。

 

どれが良いというものはありません。

 

自分が管理しやすいもの購入しやすいもの設置しやすいものを選びましょう。

設置場所

出入り口上は避ける

ドアや襖・障子の上など、人が移動する出入り口には設置しない方がいいといわれています。 

 

これは風水の考えで、「気」が動くところには長居が出来ないということから来ています。

 

神様も落ち着いて座れるところがいいはずですよ。

仏壇と向い合せにしない

同じ部屋に祀ることは問題はありません。

 

仏壇と上下合わせる時も上を神棚、下に仏壇にし、中心軸をずらせば大丈夫です。

これは同じ部屋だけでなく、1階と2階であっても同じことがいえます。

 

ただし、向い合せはどちらかに必ずわたしたちのお尻が向いてしまうので、これだけは避けましょう。

 

ちなみに我が家は居間に仏壇と神棚があり、足を延ばしてくつろぐとおばあちゃんに「足を向けて座らない」とよく怒られました。

 

生活の中でも、神様仏様がいることを意識するのが大事、ということですね。

東向きがよい

なるべく東向き、南向きに設置します。

東向きは太陽が昇って陽が差し込む向きで、南向きは「天子南面」といわれ良いとされているためです。

Onepoint 実は方角は気にしなくていい?

大体どこの神社も東か南向きで建てられています。

 

ですが、西向きや北向きが悪いということもありません。

 

方角を気にせず、伊勢神宮に向かって本殿を建てている神社もあります。

こういう法則だと、東・南に向けなければならないという理屈もないです。

 

神棚を伊勢神宮に向かって設置すると西向きになるけど大丈夫?

 

平気です。

神様は多分そんなこと気にしないと思います。

榊やお札など

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地域や信仰する神様によって多少違います。

代表的なものを下記にまとめます。

 

写真の中央から順番に解説します。

水玉(みずだま)

まずは中央、どんぐりのような形をした神具。

水器(すいき)といいます。

 

古くは「盌(もひ)」「椀(まり)」などとも言われ、素焼き土器や白陶器を使用。

 

水を入れて供えるのですが、この時必ずふたは開けておくこと。

ふたを開けていないと神様が水を飲むことが出来ません。

 

また、水は毎日とりかえます。

水は「手水舎」のように神社にはなくてならないものです。

身を清めるため、清潔さを象徴するものなので、神社においても重要視されてます。

白皿

水器の左右にある白い皿。

平瓮(ひらか)、土器(かはらげ)ともいわれます。

 

米と塩を盛る器として、通常2皿。

水玉と同じく素焼き土器又は白陶器を使用します。

 

米は神からの恵みもので神様がもっとも食するごはん。

焚いたものではなく精米した生米を置くきます。

 

塩は身を清めるために用いられます。

古来より、塩の製造には手間暇がかかることが知られ、大変貴重なものという考えがありました。

お金の代わりに献上されることもしばしば。

 

米も塩も神様へのお供え物です。

毎日とりかえましょう。

瓶子(へいじ)

白皿のさらに左右にある筒状の神具を平子といいます。

お酒を入れる瓶で、通常2本。

 

よく時代劇などで、お酒が入っているものが登場しますが、あれと全く同じ。

サイズがちょっと小型化しただけ。

 

酒は神社に奉納するお供え物で欠かせないものです。

また、穢れを払う清めの神事の際にも使われる神道の道具の一つ。

 

お供えする時は、ふたを開けておいてください。

榊立

神棚のもっとも左右に置かれる神具で、榊を入れるための花瓶。

榊立(さかきだて)ともいいます。

左右に2つ設置。

 

榊は常緑樹で、いつまでも青々としているので永遠の象徴。

穢れを払ってくれるので、神社のお祓いの道具の一つでもあります。

 

なるべく造花でなく生花がよいです。

近くに道の駅や野菜直売所などありませんか?

 

榊を置いている所が多いので、気にしてみて下さいね。

不思議と枯れませんので、水を頻繁に変えてあげれば1ヶ月くらいは余裕で持ちます。

 

 

どれも、神社と置き換えてみてみると納得のアイテムかと思います。

神棚を祀る時にわからないことがあったら、神社の様子を思い浮かべるといいですよ。

神棚を選ぶ基準

こればかりは個人の好みなので、こうした神棚を置かれる方もいれば、シンプルな札だけが納められるものを選ぶ方もいます。

 

神棚の設置で気をつけなければならないことは、値段や見た目ではありません。

 

ましてやお供え物の豪華さなどでもありません。

大きさや数

大きさは設置する場所に合わせます。

大きいから良い、小さいからダメということはまったくありません。

 

なにごとも「分相応(ぶんそうおう)」です。

 

数はいくつでも良いです。

一部屋に1つ神棚を設置する!ってのもありだと思いますが、特に重要な個所に設置するのが良いです。

 

通常は居間など、家族が団らんしている場所が良いと言われています。

 

あとは火の神様は特別なので、台所にもう一つ設置するお家もあります。

火災防止の効果をお願いして設置します。

意外に大事な材質

今は合板など、人工的に作られた木材などもありますが、神棚に使うのであれば自然のものを使いましょう。

 

しかも「ヒノキ」が一番です。

 

木にはそれぞれ役割が決められています。

 

日本書紀の中で、須佐之男命(すさのおのみこと)が体中の毛をぶちっと抜いていてばらまいたところ、それが様々な木に変化したそうです。

 

ヒノキは宮殿に、スギとクスノキは舟に、マキは棺に使うと良いと教えます。

 

考古学的にも科学的にも、木の縮み具合や火に対する強さ、湿気の取り込み方などが各木で立証済。

 

なので、建築資材にはヒノキが一番。

 

神棚も小さい神社です。

建物なので、ヒノキで作られたものが良いです。

 

間違ってもマキでつくられたものなどは購入しませんように。

 

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神棚を置いたら気をつける事

神様は清潔がお好き

日本の神様は汚いものが大嫌いです。

 

これは「汚いもの」=「穢れ(けがれ)」は「死や悪」に通じ、なんでも新しくきれいなものが良いという神道の考えです。

 

だから日本人って新しいもん好きのきれい好きではありませんか?

はるか昔からのこの考えが、今の私たちの感覚のなかにも生きているって面白いですよね。

 

というわけで、とにかく清潔が一番。

f:id:oragamatiko:20180801153116j:plain日本人はきれい好き

雲を忘れない?

よく神棚には「雲字」や「雲板」をつけましょうと言われます。

これですね。

昔にはなかった考え方です。

 

今は二階建てや集合住宅など上に人がいることが普通になってきましたよね。

階下にいる神様をふんずけてしまっているのではないか、ということから最近出始めたものなんです。

 

厳密に決められたものではないので、絶対にやらなければならないというものでもありません。

 

同じ家族が住む家ならまだしも、上階に全く知らない人が住んでいるなど、気になる方はつけた方がいいかもしれません。

処分の仕方

古くなったものや壊れてしまったからといって、燃えるごみに出すのはやめましょう。

 

まがりなりにも神社です。

 

神社のお焚き上げなどを利用してくださいね。

定期的に行われていますので、お近くの神社に相談してみて下さい。

喪があった時 

その家で誰かが亡くなった時は、神棚に白い和紙をつけ目隠しをします。

 

仏教では「死」を「穢れる」という認識はありませんが、神道では「死」はタブーです。

 

喪中の人は鳥居をくぐるなと言われますが、家中にある神棚も同様です。

神様に「穢れ」を見せないように必ず貼り付けましょう。 

神棚は空っぽ~まとめ~

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全国各地に神社があってさらに神棚が各家にあったら、さぞ神様は大変だろなと思いますよね。

 

でも、実は、神社(神棚)に神様はいないんです。

 冒頭でもちょっと触れましたが、神社や神棚は実は空っぽの入れ物に過ぎません。

 

それぞれの神社の数や神棚の数を合わせると、そりゃもうすごい数になります。

ってことは神様はいくつにもわかれていなければなりません。

 

これはちょっと違って、神様が分かれて色んな神社や神棚に住んでいるのではなくて、神様自身はいつも天に居て、人が必要な時に下界、つまり神社(神棚)に降りてくるわけです。

 

神社や神棚は神様自身を分けたものわけではなくて、神様を呼ぶための施設なので、神様はいないんです。

 

じゃあ、わたしたちは空っぽの神社や神棚に手を合わせていることになるの?って話になりますよね。

 

いいえ、違います。

 

神様は呼べばすぐに来てくれます。

パンパンと手を叩けば、もうそこにいます。

 

なので、いつ神様が来てもいいように神棚はきれいにしておきましょう。

 

かといって、そんなにかしこまることはなくて、お家にお客さんを呼ぶときには掃除の一つもしますよね。

それと同じ感覚で構わないと思います。

 

また「神棚は家を新築したときに設置しなければならない」と思ってしまいますが、あとから設置しても問題ありません。

お札しか持っていないけど神棚がないといった場合も、敢えて神棚を設置する必要もありません。

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日本の神様って結構いい加減なところがありますので、ちょっとぐらい間違っても天罰があたる!なんてことはありません。

 

視線より高い所に置き、お供え物は新鮮なものをあげ、掃除をこまめに行う。

神様は新し物好きで、汚いものが大嫌い。

 

常識的な範囲で気をつけることが大事です。

 

 

以上「おらがまち」まちこでした。