こんにちは。
弱小文化財「おらがまち」まちこです。
旅行に行ったときに、全世界共通して行くところがあります。
それは宗教施設。
もちろん日本には、古くから神社やお寺が各地に残されています。
そしてお城。
日本にもたくさん城郭が存在。
旅や観光に行ったら、どれか絶対いくはず!
歴史オタクで学芸員の資格を持っている管理人が、日本建築のおすすめする見どころや知っておきたい基礎知識についてご紹介!
(※今まで書き溜めたまとめ記事でもあります。)
今回は「旅に出て、神社やお寺を観るときの基礎知識について」です。
早速行ってみましょう!
日本建築とは?
日本建築とは、中国から影響を受け日本独自に発展した建築。
学問として細かく研究がされるようになったのは明治時代のことで、それまでは大工さんが弟子に伝えてきた知識のみで成り立っていた分野。
江戸時代に多少の建築のまとめ研究がありましたが、歴史学者からの面からであったたため専門的なものではありませんでした。
いわゆる建築家といわれる人たちが出てきたことで、数学的・工学的な研究の対象となりましたが、それ以前は大工さんの腕が頼りでした。
地震大国と言われながらも、高層の建築物を可能にしたのはひとえに職人さんの技術の賜物で、そこにあった知識は現代に通用するほどの技術でもあります。
それぐらいすごい知識がつまったのが日本建築!
スカイツリーの建造に、五重塔の技術が使われていたのは有名なおはなし。
特徴
日本建築の特徴は、木材をメインに構成されているということ。
西洋のレンガや石で建てられた建築とは対照的なのが大きな特徴です。
釘が全く使われていなかったと勘違いされている方もいるようですが、必要であれば釘も使用していました。
ただし必要最低限の場所のみで、今の釘とは全く異なり「和釘」という特徴的な釘を使用。
あくまでも補助的な道具の一つであって、メインは木を組むことで作り上げます。
見どころ
見どころはずばり、これら木で組まれた状態と装飾。
日本建築は地震や火事に対してもいろいろ考えて作られている建築ですが、見た目も重要視されていました。
円柱の柱を削るにしても「このぐらいなら円に見えるっしょ。」といういいかげんなところがない。
円柱を作るときは、まずは四角形を削り出し、その角を削り六角形にして、どんどん角を削り落として円形に近づけるという手の込みよう。
もともと木なんて円柱なんだから、それを使えばいいじゃんと思いますが、それをやらない。
しかも、切ったら切りっ放し作ったら作りっ放しにしない。
例えば、雨が吹き込むところだからと雨よけで板を立てても、それを単に木のきれっぱしにしない。
彫刻や金属加工をして、工芸品にまで昇華。
木の組み方一つ、切り出し方一つとっても、それを守るための装飾をとっても、見どころがとにかく多い。
シンプルなのに手が込んでいる。
そしてちゃんと意味がある。
まちこ的には、そんなところに魅力を感じざるを得ません!(あばれる調)
旅に行ったら日本建築のここを見よう!
観光や旅行に行ったときに、神社・お寺・お城を観るのは定番コースです。
建造物の中に入れば、仏像や壁画、ふすまの絵画、装飾金具、廊下や天井の美しさなどを堪能することが出来ます。
でも。
中に入れるものばかりではありません。
国宝や重要文化財になっているもの、修復の途中、秘仏がある、神社やお寺・お城の諸事情によって、外からしか眺めることが出来ない事もしばしば。
外から見ると、
「へ~」
「ふ~ん」
「大きいな~」
「きれいだな~」
で、終わってしまいがちですが、それではとってももったいない!
外から見ても、堪能は十分可能です。
組物(くみもの)
日本建築の醍醐味は、とにかく「組物(くみもの)」に尽きると思います。
この構造があるからこそ、日本建築の美しさを感じることが出来る。
基本的に釘を使わず組まれているので、地震に弱い衝撃に弱いと思われがちですが、安定度は実は抜群。
この木の組み方はまちこも大好きお祭りの神輿や山車の基本となっていますし、仏壇や神棚もこれにならってつくられています。
日本の木の文化を支える技術はここにあり。
というぐらい面白いところです。
さらに、この組物は組まれ方が美しいだけでなくて、それを基準にその建物がどのくらい大事なものなのかを知る基準にもなります。
詳しくは組物の記事へ!
瓦(かわら)
そして、その組物という建物本体を守るために屋根が存在します。
とくにお寺や城郭に見られるのが、建物の上か大きく羽を広げたようにどっしりした瓦。
これが建物全体を引き締めていて、日本建築全体の美しさはこの瓦によって決まるともいわれています。
ちなみに今私たちがみている瓦は「桟瓦(さんがわら)」といって、一枚の瓦を重ねていくもの。
でも、瓦には実はすごい技術が必要で、本来は「本瓦(ほんがわら)」という、どっしり上から建物を守るタイプが普通でした。
ほかにも「茅葺(かやぶき)」「檜皮(ひわだ)」など、木の皮や植物の茎・葉を利用する方法もあります。
瓦も木・植物、どちらも現在でやろうとしたら、ものすご~~~~~~~~~~~~~い金額になります。
垂木(たるき)
軒下(のきした)を作ってくれ、瓦屋根を支える部分です。
外から見るだけでは全く意識することはありませんが、軒下に入って見上げることではじめて「垂木(のきした)」の魅力を実感できます。
ただ木が並んでいるだけだと思ったら大間違い!
そこには日本人のこだわりが、ものすごく詰め込まれている見えない部分でもあります。
是非是非近くまで行って、軒下に入ってみてください。
垂木の変遷を知っていると、建物の年代もなんとな~くわかってしまうので、意外と面白い穴場。
懸魚(げぎょ)
ここから、建物の装飾の部分。
「懸魚(げぎょ)」は、屋根の両サイドで八の字に交差している部分にあります。
もともとは、屋根の下に雨が吹き込まないように板をはめ込んでいたのですが、それが彫刻され、さらに装飾されるようになり、建築部分の見どころの一つとなりました。
まちこは個人的にこの部分が大好き。
シンプルでモダンな造りなんですが、とにかく美しくて好き。
蟇股(かえるまた)
こちらも日本建築の装飾の一つ。
「蟇股(かえるまた)」コレクターなるものも存在するくらい、日本建築の見どころの一つ。
横材の上にあって、屋根を支える目的の部材ですが、時代を経ることに装飾の度合が強くなって行きます。
ずっしりと重みのあるタイプ(本来の目的重視)は古いタイプの蟇股が多く、透かし彫りや完全なる彫刻になってきてしまっていると新しいタイプの蟇股となります。
日光東照宮にある左甚五郎作「眠り猫」も蟇股の一つ。
お賽銭箱が置かれている建物の入り口部分上に龍の彫刻などがあったりすると思いますが、あれも蟇股の一つです。
あなたも知らぬうちに見ている蟇股。
これを写真に撮ってコレクションしているなら、立派な蟇股コレクター。
納得です。
木鼻(きばな)
「木鼻(きばな)」は神社やお寺に行ったことがあるなら絶対見ている。
お賽銭箱の上にあるの彫刻が蟇股といいましたが、その蟇股の左右の柱にぴろっと飛び出している獅子やお花の彫刻があります。
それが木鼻です。
さらに建物の柱の角にもぴろっと飛び出して彫刻されているのも木鼻。
名前なんて知りませんが、絶対みんな見てます。
蟇股と合わせて、こちらのコレクションをしている人もたくさんいます。
ちょっと想像が出来ん。
そんな人は木鼻の記事へどうぞ!※写真つき
礎石(そせき)
「礎石(そせき)」は、建物があってもなくても楽しめる部分。
昔の建物跡ですと、よく石だけが並んでいる公園や史跡があります。
これを単に石が並んでいて、「へ~建物があったんだ~」と思うか。
それとも、「うぉ~~素晴らしい!」と思うか。
普通は前者です。
でも、礎石があることで建物の大きさを想像することが可能になります。
あるとないとでは大違い。
是非見たいのは、出雲大社。
礎石そのものはありませんが、石畳の上に礎石の大きさを描いた絵があり、いかに大きな建物だったが直感でわかります。
※出雲大社のものは厳密にいうと礎石ではありません。
さらに礎石の仲間にはいろんなものがあって面白い、
お城の石垣もこの仲間に入ります。
礎石だけしかない施設にも複雑な事情があったりして、文化財の闇の部分を知ることにも。。。
基礎知識を知っておくと~まとめ~
基礎知識をすべて覚えておく必要は全くございません。
まちこも単に文化財の知識を大学で得たからこその知識であって、単に旅行に行くからと調べ込む必要はないです。
でも、自分の絶対見る部分があると、あそこの神社とここの神社はこんな違いがあるんだ~という発見が出来る。
この記事に記載したのは、本当の基礎知識。
詳細を知らなくても、そんな見どころがあるんだ~くらいに読んでみて下さい。
ただ、外から「へ~、ふ~ん」ぐらいしか見ていたなかったものにもたくさんの見どころがあります。
日本建築の見どころを知っておくと、中国の影響を受けた国にある建物と比べることもできるようになって、東アジアなどを旅行するとまた一味違った楽しみが増えます。
しかも遠くの観光地に行かなくても、地元の神社やお寺でも面白くなります。
神社だったら、屋根の形や入口から出雲系か伊勢系かがわかってしまったりするので、地元の神社と出雲大社や伊勢神宮との意外なつながりを発見できたり。
歴史が好きな人であれば、こんなところに萌えたりするはず!
日本建築と聞くとお堅いイメージがありますが、美術的に見たり、宗教的に見たり、いろいろな見方がたくさんあります。
日本建築が気になったら、図解入りのこちらの入門書がいいですよ!
日本建築から、自分の面白さを発見してみて旅行や観光の醍醐味にしてみてくださいね!
以上「おらがまち」まちこでした。