こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
「お香(おこう)」は、誰もが知っているいい香りを出してくれるアイテム。
最近は手作りするお香も流行って来ていますが、このお香が何から出来ているかというのはあんまり知られていません。
しかも、このお香たちの天然の素材たちは今や超貴重なものとなってしまっています。
もはや文化財レベルです!
今回は、この「お香」の原料について深く突っ込んでみます。
それでは早速!
お香とは
お香の歴史
お香の歴史は紀元前にまで遡ることが出来ます。
そもそも人類が「火」を利用するようになったことがきっかけ。
「お香」は熱を加えることで香りがたつのはみなさんご存知。
たまたま偶然に火にくべた草木からいい匂いがしたことで、「香り」を楽しむようになったとされています。
香りを意図的に利用するようになったのは古代オリエント(現在の中東地域)が発祥で、インド、中国を経て日本に。
仏教の伝来ととも「焼香」というかたちでやってきたのがはじまり。
宗教儀式の道具として利用されることが多く、仏教の「お焼香」をはじめ、キリスト教の焚香など、様々なシーンで使われます。
日本人にとって、もっとも身近なお香といえば「お線香」。
これも立派なお香の一つです。
また、医療用の薬としても利用され、代表的なものはミイラの腐敗を防ぐために使われたりもしていました。
アロマ精油として販売されていますが、「アロマ」も「お香」も基本同じ。
「蚊取り線香」も同じ仲間。
あれは虫よけとして大活躍。
「お香」は「香り」を楽しむためのものとして現在愛用されていますが、かつては生活の必需品として、人類の文化になくてはならない存在だったわけです。
お香の原料は今も昔も超高価
どの原料たちもそのままでなく、乾燥させたり加工させることで力を発揮します。
しかも、インド・東南アジアなどの熱帯地域にあるものが多く、採取するのがまず大変。
さらにそれが出来るのが偶然の産物であったり、時間をかけなければ出来ないものなど。
お香の原料は、今も昔もものすごく価値のあるものばかり。
古来は献上品としても送られた貴重な品でした。
もちろん昔からお香は手作りされているのが当たり前。
化学的な薬品がないので、どうしても高価になってしまいます。
ではでは、そんなお香たちの原料にはどんなものがあるのか、代表的なものをちょっとまとめてみました。
お香の原料の種類
原料は大きく分けて3つ。
お香のメインとなる「香木(こうぼく)」、それを補う「香料(こうりょう)」、さらにこれらを引き立てるための「保香材(ほこうざい)」の3種類です。
お香を手作りするには、この3つを大まかに知っておく必要があります。
香木
原料そのものが香る木のことを「香木(こうぼく)」といいます。
香りの主成分。
香木は木の中の樹脂が香るもので、そのままであったり、熱を加えたりすると芳香します。
同じ仲間の木であってもそれぞれ香りが異なり、それぞれが貴重なものとされ珍重されています。
有名なのは正倉院(奈良時代)にも保管されていたもの。
国の重要文化財に指定されているものもあります。
白檀(びゃくだん)
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香源オリジナル 白檀 抹香 500g
インドや東南アジアで栽培されているビャクダン科の常緑高木。
幹や根の中心となる部分で、香木としてはポピュラーで幅広い用途で利用されています。
常温でも香るのが特徴。
別名「サンダルウッド」。
沈香(じんこう)
正式には沈水香木(ぢんすいこうぼく)といいます。
「水に沈む、香りのする木」であることから、「沈水香木」→「沈香」と名がつきました。
加熱することで芳香。
別名「アガーウッド」。
伽羅(きゃら)
沈香の中でもとくに油分50%以上を含むものを「伽羅」としています。
正倉院の中に納めれれている「蘭奢待(らんじゃたい)」は、国宝以上の価値があるとされている大変貴重な沈香。
天皇の許可なく見ることも叶わなかったとされる一品です。
香料
メインの香木を引き立たせる役割をし、その数、数十種類以上。
お香の香料だけでなく、香辛料や漢方としても重宝されています。
手作りをするときは、この香料を調整することによってオリジナリティを出すことができます。
丁子(ちょうじ)
チョウジの木の蕾を乾燥させたもの。
形が釘(くぎ)に似ていることからこの名がついたとか。
別名「クローブ」。
桂皮(けいひ)
クスノキ科ニッケイ属であるシナニッケイ、セイロンニッケイの樹皮を乾燥させたもの。
別名「シナモン」として世界で親しまれている香辛料。
ちなみにシナモンは血行促進で体を温める効果があります。
甘松(かんしょう)
オミナエシ科の草木の根や茎を乾燥させたもの。
清書にも登場し、マグダラのマリアがイエスの足にぬった奇跡の聖油とされています。
別名「スパイクナード」。
大茴香(だいういきょう)
ダイウイキョウ(シキミ科)の実を乾燥したもので、星のような特徴ある形をしています。
その形から「八角茴香」ともされ、中国料理には欠かせない香辛料。
別名「スターアニス」。
山奈(さんな)
ショウガ科の根茎を乾燥させたもの。
ショウガに似た香りで、他の香料のたちをなじませる補佐的な役割でよく利用されています。
別名「バンウコン」。
乳香(にゅうこう)
カンラン科のニュウコウジュから抽出したゴム状の樹脂。
キリスト教の儀式でも使用される焚香料です。
アフリカ東北部などで採れます。
別名「フランキンセンス」。
龍脳 (りゅうのう)
リュウノウジュ(フタバガキ科)の幹の中心にある空間にできる無色透明な結晶。
香りは樟脳(しょうのう)によく似ていて、それよりも強い香りを出すのが特徴。
日本のマルコ山古墳から出土し、1500年以上前から使用されていたことが判明しています。
安息香(あんそくこう)
エゴノキ科アンソクコウの木の樹脂。
キリスト教では強い魔除けの効果があるとして、宗教儀式に用いられてきました。
スマトラ島のものが一番有名。
別名「ベンゾイン」。
ちなみに食品添加物の「安息香酸」とは全くの別物。
保香材としても利用されます。
保香材
香木・香料で組み合わさったものをさらに引き立たせるためにポイントで入れるもの。
麝香(じゃこう)
発情期のジャコウジカの雄の香囊から採れる保香材。
これだけではTHE動物臭ですが、アルコールなどで薄めて、さらに他の香料と調合することで香り豊かなものへと変化。
別名「ムスク」として、香水の原料としても利用されます。
貝香/甲香(かいこう/こうこう)
巻貝のフタ。
香りを安定させ、長持ちさせる保香材。
単独ではいい匂いとはいえませんが、他の香木香料と混ぜて利用します。
貴重な原料だからこそ
ご紹介した原料の他にもまだあります。
龍涎香(りゅうぜんこう)というマッコウクジラの体内で作られる結石も保香材の一種ですが、あまりにも貴重過ぎて画像すらない。
お香の原料たちは、今や絶滅の危機に瀕しています。
お香の原料だけでなく、動物でもなんでもそうですが地球上の環境は劇的に変化中。
お香の原料は自然由来の天然のものばかり。
地球の環境、条件に大きく左右されます。
だから、天然のものを探して購入するとなると、とてつもない値段に目が飛び出ることもしばしば。
例えば
1gで、4万円超!
これは極端な例ですが、10gで何千円とか結構ザラにあります。
今は化学的につくられたものもありますが、それを身近で毎日焚くとなるとう~む。
となってしまいます。
確かに香りはそのものかもしれませんが、ちょっとした有害物質を焚いているのと同じことに近くなってしまうという。
だからなるべく天然ものがいい。
でも高い。
だから買わない。
需要がないと消滅。
弱小文化財まっしぐらです。
貴重なものであるから極端な大量購入はいかがなものかと思いますが、「モノに需要がある」というのはとても大事なこと。
必要であるからこそ存続して行くことができます。
お香はほんのほんのほんの少しで充分。
だからたった1gであっても何度でも楽しむこと可能なすぐれもの。
お香はアロマと同じようにもっと身近に感じることができるものだと思います。
お香を手作りしたいなら、こうした原料にもこだわってみたいですよね!
というわけで、お香の原料のお話でした。
以上「おらがまち」まちこでした。