こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
漢字ばかりで難しい、神道関連の用語。
しかも、ネットで検索してもなに書いてあるのかさっぱりわからないことってありますよね。
というわけで、今回はブログの中でもさらっと流して書いてしまっている用語をちょっと簡単にまとめてみました。
神社のページをみたりすると良く出てくる用語を中心です。
祭神について
分霊・分祀・勧請
「分霊(ぶんれい)」とは、神様の分身のこと。
「分祀(ぶんし)」とは、分身させた神様を祀ること。
「勧請(かんじょう)」とは、離れた場所から神様を呼んで祀ること。
分祀も勧請も、本体から分霊した神様を祀ることなので同じ意味になります。
どちらかというと、勧請の方が有名どころの神様を正式に分霊し祀ることに使われることが多いようです。
日本の神様は時間や数に関係なく分身することが可能で、分身してしまったからといって、霊力・神威が薄れることはありません。
ご利益は、どこの神社に行っても同じ。
なので、本家本元に行かないとその神様のご利益を得ることが出来ない、という考えはちょっと違います。
ちなみに自分にとって一番大事な神社は、生まれた土地の神様といわれています。
氏神・産土神・鎮守
「氏神(うじがみ)」とは、その一族(氏族(しぞく))の守護神のこと。
「産土神(うぶすながみ)」とは、自分が生まれた土地の守護神のこと。
本来「氏神」は、ある一氏族の信仰する神様でしたが、村や共同体の結束のためにそこで信仰している神が優先されるようになり、個々で信仰するものは徐々に薄れて行きました。
よく「鎮守(ちんじゅ)」と呼ばれるのは「産土神」のことで、地域のご先祖様が信仰していた神様として、これが今わたしたちがいう「氏神」となっています。
面白いことにこの「産土神」は、その土地から引っ越してしまっても一生ついて来てくれる神様。
ちなみに伊勢神宮の内宮の「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は、天皇家の氏神(とくにこれを「皇祖神(こうそしん)」といいます)であると同時に、日本国民の「総氏神(そううじがみ)」。
日本人として生まれてきたら、必然的に「天照大御神」は「氏神」になるわけです。
氏子・産子
ある地域の鎮守を祀っている人々のことを「氏子(うじこ)」といい、特に先祖代々暮らしてきている人々のことを「産子(うぶこ)」。
現在はそれほど大きな区別はなく、他所から来た人であってもその地区の鎮守を祀る集団に入れば「氏子」と呼ばれます。
依代
「依代(よりしろ)」は、神様に限らず霊体が宿るもの。
樹木や岩や山などの自然物から、御幣や鏡、柱などの人工的に作られたものまで様々。
神輿や鉾や山車なども、ある種の依代となります。
初期のころは自然物がほとんどでしたが、時代が下るにつれ人工物が増えて行きました。
それに併せて神社の数も増加。
「依代」については別途詳しく解説していますので、こちらの記事を参考にしてください。
神社は空っぽ?
摂社・末社・境外社・境内社
「摂社(せっしゃ)」は、主祭神とする神様にゆかりのある祭神(后、御子など)をまつる神社のこと。
「末社(まっしゃ)」は、上記以外のものを祀る神社のこと。
「境内社」は、主祭神のある神社の境内に建てられた「摂社・末社」のこと。
「境外社」は、独立した神社として祀られた「摂社・末社」のこと。
基本的に主祭神に関連する神社であることから、「摂社」も「末社」も同じ敷地内に建てられる事がほとんどです。
規模も本殿・拝殿などの様式をもつものより、小規模なお社が多いです。
神事に関すること
祝詞
「祝詞(のりと)」は、神道の儀式において神主が唱える言葉をいいます。
仏教でいうところの「お経」と同じ。
「のり」は「宣る(のる)」で、つまり「告げる、言う、広める」といった意味があります。
神道では穢れがもっとも嫌われるので、儀式の前には「祓詞(はらえことば)」で清め、その後「祝詞」により神様にお願いをするというのが一般的。
禊・穢れ
「禊(みそぎ)」は、穢れを払い落とすこと。
「穢れ(けがれ)」は、心身についた罪や災いなど。
神道においてもっとも嫌われるのがこの「穢れ」で、儀式の前には必ず「禊」が行われます。
これらを祓うために、「祓詞」や麻を振ったり、塩などをまいたりします。
特に「禊」は、身体を洗い清めることをいいます。
お相撲さんが土俵に塩をまくのもこれと同じ。
あれは一種の神事なので、スポーツするのとはちょっと違うのです。
神社にある手水舎もこの穢れを祓うための場所。
これらの穢れを祓う「祓詞」は以下の通り。
掛けまくも畏き 伊邪那岐大御神 筑紫の日向の 橘小戸の阿波岐原に 禊祓へ給ひし時に生り坐せる祓戸の大神等 諸々の禍事 罪 穢有らむをば 祓へ給ひ 浄め給へと白す事を 聞こし 食せと 恐み恐み白す
日本の神様がよくわかる本より抜粋
祭
「祭(まつり)」は、季節の区切りに行われる神道の儀式の一つ。
春祭り・秋祭りが基本。
春は穀物の豊作を祈り、秋は収穫に感謝。
わたしたちのいう「祭り」は夏に行われますが、これは旧暦の6月頃にあたり、昔はちょうど梅雨の疫病が流行る時期だったため、この病気退散のためにおこなわれていたのが起源とされます。
祭りは別名「神遊び」ともいわれており、昔から無礼講の神事でもありました。
これは人間同士に限らず神さまも同じで、人と神やあらゆるものがとにかく楽しむ1日とされています。
共同体の結束力を強めるとともに、地域の神様を意識する大事なものでもありました。
また唯一の娯楽でもあったのでストレス発散の場にもなり、地域の維持にも一役かっていました。
用語まとめ
神道の用語は、普段なにげなく使っていることがほとんどですが、意外に突っ込んで聞かれると答えられない事がたくさんあります。
氏子と産子の違いなんて意識しながら使い分けることなんてほぼないと思いますし、今では解釈が随分変わってきてしまっているものもあります。
それでも大人になると何かと神社とかかわりになることってあります。
必要最低限の大人のマナーとして知っておくのに、決して損はないです。
特に地方に住んでいると、地域としての共同体という形は今でも残っています。
お祭りもその延長として、ちゃんと維持継承されているので参加するはず。
現在のわたしたちは、こうしたつながりを面倒だと感じることもあります。
しかし、長年培ってきた日本人のライフスタイルです。
お寺にはお墓もあるしお坊さんもたくさんいるので、接する機会はたくさんありますが、神社には意識して出向かないと接点がない。
これも一種の文化の財ではありませんが、このブログが本来は一番身近にあった神社について少しでも知る機会になれたらなぁと思っています。
以上「おらがまち」まちこでした。
< 参考文献・サイト >
- 「日本の神様」がよくわかる本
- ・日本の神々の事典―神道祭祀と八百万の神々 (New sight mook―Books esoterica)
- ・マンガ 面白いほどよくわかる! 古事記