こんにちは。
弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。
仏壇には故人をしのぶために必ず位牌が置かれています。
ただ名前を記入するだけのモノ、ですか?
位牌には色んな種類があって、時期によって使い分けが必要。
しかも、お寺が位牌を用意してくれるんでしょ?
と、思っている方!
要注意です!
今回は、知っているようで知らない「位牌」についてピックアップしてみました。
それでは早速みてみましょう!
位牌の歴史は鎌倉時代から
位牌は中国から伝来
位牌は、もともと中国発祥のもの。
後漢時代(25年~220年)の中国、儒教の先祖祭祀に使用されていたものが起源とされています。
現在はきらびやかな装飾がされている位牌ですが、最初は「木簡(もっかん)」という木の板を利用していました。
位牌は別名、位板(いばん)・木主(もくしゅ)・神主(しんしゅ)・虞主(ぐしゅ)などともいわれます。
日本にやってきたのは鎌倉時代。
鎌倉時代にやってきた禅宗とともに日本に伝来し、まずは武士たち上流階級の人たちの間で用いられるようになりました。
初期は官位や姓名を記していたようですが、やがて戒名、没年月日、俗名、年齢など細かく書くようになります。
一般家庭でも使われるようになったのは江戸時代以降。
各家で仏壇をおくようなったためです。
なんで日本で普及したの?
日本にはモノには霊が宿るという依代(よりしろ)の神道の考えがあります。
死者の名前を記した位牌は、この依代の考えと上手くマッチし日本全国現在に至るまで受け入れられました。
仏壇でお線香をあげるときに、ふと位牌をみると故人を思い出しますよね。
あれは単純に故人の思い出の品なのではなく、そこにあたかも故人がいるような感覚になるためです。
宗派での違い
ではお寺といってもさまざまな宗派がありますが、それによってなにかかわることはあるのでしょうか。
これは、基本的にルールなどはありません。
しいていえば
- 曹洞宗、臨済宗などの禅宗では、唐木のもの。
- その他宗派では黒漆などの塗りのもの。
- 地方ごとに決められている。
の傾向があります。
また浄土真宗は位牌を使わず戒名(浄土真宗では法名)を「過去帳」に記しておくなどありましたが、今は同じように位牌をつくって供養してあげることが多くなりました。
この過去帳は宗派に関係なく、大事な人の記録としてとっても流行っています。
はじめて位牌を準備する方のために御仏壇のはせがわは詳しく説明をしてくれていますので、参考にしてみてください。
卒塔婆とは違うの?
位牌と同じように「戒名」を入れて、墓地に置いておく板のことを「板塔婆(いたとば)」といいます。
一般的に「塔婆(とば)」 とよばれます。
長さ1~2mほどのいくつかくびれのある不思議な形をした木の板で、位牌と同じような内容、「戒名」などが記されています。
位牌と同じ役割なんでしょ?
いやいや、実は全然意味が違うのです。
「板塔婆」は、「卒塔婆(そとば)」のことで、形は「空風火水地」を表しています。
これ、五重塔と同じ起源を持ちます。
そもそも五重塔はお釈迦様の骨を入れておくお墓。
つまり供養のために建てられた塔なわけです。
その供養塔をまねて小型化したものがこの塔婆。
つまり、位牌は故人そのものを表しますが、「卒塔婆」は供養のために置かれて記念品のようなもの。
そのため、法事のたびに新しい「板塔婆」を用意したりしますよね。
追善の供養としてお盆や節目にお寺にお願いし、故人の冥福を祈るための道具の一つでもあります。
ちなみに塔婆の方が位牌より歴史は古くて、平安時代末期には書物に記載が見られます。
五重塔の詳しい記事は「スカイツリーも真似した古代技術」へ!
位牌の種類と使い方
位牌は自分、戒名はお寺
実は、位牌はお寺が用意してくれるものではありません。
お寺が用意してくれるのは「戒名」だけ。
位牌は自分で探して、もらった戒名を記載しなければなりません。
しかも四十九日までに準備しなければなりません。
知らないでいると、そりゃもうバタバタ。
また、位牌は個人そのものを表すとされます。
そのためお寺側も戒名の作成時に、故人がどんな人だったか、どんなものが好きだったのかなど詳しく聞いて、その人にあったものを考えてくれます。
位牌をみるたびにその人が思い出せるようにと、お寺側も配慮してくれますし、また位牌もその人見合ったものを用意することが望ましいといわれます。
生前戒名
そのため位牌や戒名を生前にもらうことも最近は増えて来ているのが傾向。
生きているうちに戒名をもらうのかと、不思議に思われるかもしれませんが、本来は戒名は生前にうけることが理想だし、当たり前のことなんです。
そもそも「戒名」は仏様の弟子になるということ。
死んでから受けるのではなく生きているうちにもらって、生身の人間のうちにまずは修行にはげまないと(笑)
この「生前戒名」は、自分の好みの字や位牌を用意することが出来る上に、仏徳を7倍にすることにもなるんだとか!
それなら生前に戒名をもらおう!と思うのは当然ですよね。
ただし「生前戒名」にはいろんなトラブルがあります。
例えば自分のお父さんが、全然知らないお寺で「生前戒名」を授けてもらっていたのを知らず、こどもたちが自分で選んだお寺でお父さんの葬儀をあげたとします。
戒名を授けたお寺と、実際に葬儀を行ったお寺が違うことになり、トラブル発生。
生前戒名をもらった場合は、必ず家族に伝える、遺書を残す等をしておかないと大変なことになってしまいます。
生前に位牌を貰った場合は「戒名」を授けてくれたお寺で必ずお葬式をあげてください。
種類はどんなものがあるの?
内位牌(白木位牌)
亡くなってすぐに作られる白木造りの簡素な位牌。
お葬式の時に喪主が持っていうものがそうです。
この位牌は背が高いためもあり、基本四十九日の仮祭壇が置かれている間のみ使用。
それ以降は「本位牌」を置きます。
本位牌
四十九日以降仏壇に置かれる位牌。
「札位牌」と「繰り出し位牌」があり、私たちがよく目にするのは前者となります。
↓ 「繰り出し位牌」はこちら。
札位牌は1~2人(2人の場合は夫婦が多い)の戒名が書かれています。
この札位牌を故人の人数分仏壇におくのは大変なので、そこで出てくるのが繰り出し位牌。
繰り出し位牌は箱状の少し大きめのもので、中に板状の位牌が複数入っています。
「先祖代々之霊」として、複数の故人をまとめておくときに利用。
寺位牌
お寺に別に置かれる位牌。
別途作る必要あり。
お寺での朝夕の勤行(かんぎょう・お祈りの時間)の際に供養されますので、信心深い方や宗派によっては納めることがあります。
おもしろ豆知識:等身大の位牌
お寺に行かれるとものすごく大きな位牌を目にしたことはないでしょうか。
歴史上の人物には、故人の背丈に合わせて作られたものなどがあります。
愛知県岡崎市にある大樹寺(だいじゅじ)という浄土真宗のお寺は、三河松平家菩提寺でもあります。
徳川将軍の位牌が安置されていますが、この位牌は将軍の臨終時の身長をまねしてつくったと言われています。
ちなみに家康は159センチだったんだとか。
大きさも決まってる?
昔はその人の社会的な立場に合わせてつくられていたようですが、今はお家の住宅事情が優先されます。
普通に販売されているものを購入すればほぼ間違いはないかと思います。
大きさは尺寸分で表記されていますが、センチメートルで但し書きしてあります。
必ず確認して下さい。
ご先祖様の本位牌(とくに札位牌)がまだ仏壇にある場合は、これよりも大きくならない方がよいとされています。
発注の際は、ちょっと置いてある位牌の大きさを計ってあげてくださいね。
漆塗り?白木造り?形も決まってる?
漆塗りなどの「塗位牌」と、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)の「唐木牌」の2種類
にわけることができます。
塗位牌は漆などで塗装されているもの。
唐木牌は、木そのものの色を活かした位牌。
黒檀は黒っぽい木材を、紫檀は赤紫っぽい木材を使用。
これに様々な装飾がされます。
とくに繰り出し位牌は美麗な装飾がされていることが多い。
作り替える・切り替える・破棄するときには、必ず「魂移し(みたまうつし)」を行います。
お寺に必ず相談しましょう。
位牌は故人を思い出すための大事な品~まとめ~
位牌にも時と場所によって、色々なものがあります。
しかも、事前にしっておかないと大変な思いをすることも多々ある位牌。
悲しいことですが、大事な人がなくなって喪主はこういった手配でバタバタしていて気持ちを切り替えることがなかなかできません。
白木位牌から本位牌になって初めて落ち着いて供養が出来るという方も多いようです。
位牌選びは故人そのもの、気持ちを切り替えるために必要なものです。
現代風にアレンジされたモダンな位牌もたくさんありますので、お家のインテリアや故人に合わせて選ぶこともできます。
また、ペットの葬儀なども行われる時代となりましたが、人と同じように位牌をつくって供養する方も増えて来ているようです。
お寺によっては埋葬できるできないがあると思いますので、必ず確認して下さい。
位牌をしらないと困ること、位牌を知っていると得すること、位牌にはこんなにもたくさんのことがかくされています。
ご先祖様の霊は大事に供養したいものですね。
以上「おらがまち」まちこでした。
・ふるさと納税で文化財を守る!弱小文化財を守る一石三鳥の利用の仕方。
・四十九日の本当の意味を知ろう!実は七七日って書くって知ってた?
・位牌のいろはを知りたいなら専門店の御仏壇のはせがわへ!(広告)
・お財布を神棚に置くのは意味がある。歴史から紐解く金運アップ。