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学芸員の資格は必要なのか?学芸員資格保持者が解説します!

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こんにちは。

弱小文化財応援ブログ「おらがまち」まちこです。

 

わたしは「学芸員(がくげいいん)」の資格を持っています。

 

この資格は特殊で、実際に美術館や博物館などで働かない限り、「わたしは学芸員です」と名乗ることは出来ません。

なので「わたしは学芸員の資格をもっています」としか言えません。

 

しかも経験上「学芸員」の資格というのは、特殊すぎるためあまり役にたったことはありません。

 

では「学芸員」を取らなくてもいいのかというとそういうものでもありません。

 

そこで、今日は学芸員の資格が取れる学校や学芸員裏話などをご紹介したいと思います。

 

では、早速みてみましょう!

学芸員について

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学芸員とは

学芸員は博物館、美術館のみならず、科学館・水族館・動物園・植物園などで働く、それぞれの知識をもった専門家です。

 

本を読んで論文ばかり書いているイメージがあると思いますが、かなり雑用もこなします。

 

海外の学芸員は細かく専門がわかれ仕事内容も限定的ですが、日本の学芸員はとにかく大変です。

仕事内容

資料の収集、整理、展示、これらのお片付け、専門分野の研究、教育などなど。

 

この中には、カメラ撮影やパソコンによる資料・論文作成、展示物などのパネル作り、展示物の交渉もあり、優雅な研究生活とは程遠いです。

勤務時間・待遇など

深夜まで仕事をすること、ざらにあります。

 

お給料、普通の年相応の一般給料額より少ないです。

 

独り身ならまだ回りますが、結婚した場合は相手の方の深い心が必要かと思います。

 

それでもやめる人はほとんどいません。

 

なぜならみんな自分の好きなことを仕事にしているからです。

好きな事を仕事にした強みですね。

採用は倍率100倍!

ちなみに、採用はお医者さんになるよりも大変だと思ってください。

 

学芸員の資格を持っている人数に対して、これらの文化施設は圧倒的に少ない。

場所によっては100倍率という難関もあります。

 

「学芸員の資格はとれるけど、学芸員になるのは難しい」です。

学芸員補

これは高校を卒業した人、大検に合格した人で、実際に学芸員の補佐などの仕事をしている人、した人に与えられる資格。

 

このままでは「学芸員」にはなれませんが、審査や試験をうけることで学芸員になることができます。

 

例えば、高校卒業してそのまま公務員などになり博物館で働くことになった人など。

 

色んななり方があるのですが、まずは仕事の内容が知りたいという人にはこちらの本がおすすめ。 

学芸員の仕事内容については、経験者のお話を聞くのが一番。

資格をとるためには

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1、大学で単位を取得する

博物館に関する科目を修得し、大学を卒業し「学士*1」となると、学芸員の資格がもらえます。

 

わたしはこのやり方で取得しました。

大学に入ってちゃんとやることやってればもらえる。

 

全国に297校(4年制大学288校、短期大学は9校)の学芸員資格開講をしている学校があります。

 

通信講座で短期集中2年で取得というものもあります。

 

一番楽で、一番有利!

2、単位と学芸員補

大学に2年以上いた人で、博物館に関する単位など62単位以上を修得。

さら3年以上学芸員補の仕事をした人にもらえるものです。

3、学芸員資格認定試験

以下の中で、どれかにあてはまる人が受けられる試験です。

 

  1. 学士である
  2. 大学に2年以上在学関連科目62単位以上を修得。さら2年以上の学芸員補経歴がある
  3. 教育職員の普通免許状があり、2年以上教育職員だった
  4. 4年以上学芸員補だった

 

筆記試験が行われます。

 

教職員の免許の取得単位とよく似ているし、学芸員補だったりと知識が基本的にある上での試験となるので、比較的合格しやすい。

4、学芸員資格認定審査

以下の中で、どれかにあてはまる人が受けられる審査です。

 

  1. 修士または博士で、2年以上学芸員補だった
  2. 大学で博物館関連科目を2年以上教え、2年以上学芸員補だった
  3. 次のいずれかに該当する場合に適用されます。さらに都道府県の教育委員会の推薦が必要です。
    (1)学士で、4年以上学芸員補だった
    (2)大学に2年以上在学し、博物館関連科目62単位以上を修得。さらに6年以上学芸員補だった
    (3)高卒・大検合格者で8年以上学芸員補だった。
    (4)11年以上学芸員補だった
  4. 他文部科学大臣が認めた人

 

書類審査と面接が行われます。

 

これは人脈が必要だ!

学芸員の履修途中で教員資格に変更も出来る

学芸員の履修科目と、教員資格の履修科目はとても似ています。

なので、どちらか途中で変更することも可能なことが多いです。

 

わたしの大学の仲間にも、途中で教員の資格に変更した人もいます。

 

教職員の方が就職しやすいですし、生活費のことなどを考え、現実を見る方向が定まったら変更してもいいかと思います。

 

どんな勉強やどんな単位を取り必要があるのか、参考までにこちらの本を。

こちらは基本中の基本。

これに展示のやり方や資料の保管の仕方、経営に関する方法などなど。

 

独学でやると覚える量が多く大変ですが、学校経由で教えてもらうと大事なところをかいつまんで教えてくれるのでわかりやすい。

 

やっぱり、通信でもなんでも大学を経由した取得が一番いいです。

院に行って絶対教授から離れてはダメ

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なぜ学芸員にならなかったのかって?

 

若いときは後先考えず、あれがやりたいこれがやりたいと思うものですが、わたしもご多分にもれずその一人でした。

そのため、卒業後は大学をはなれ自由気ままにやってしまいました。

 

そして現在。

 

今になると思うところがたくさんありまして、こうしたブログを展開することとなったわけです。

歳をとったんですね。

 

大学のころ、指示してくれた教授からは「絶対院に行かなくてはダメ」「先生から色々もらわないとダメ」と散々言われました。

 

ようはこういうことを言いたかったんですね。

 

  1. 院に行って勉強を続けること
  2. 教授の知識をわけてもらうこと
  3. 教授のコネを利用すること
  4. 教授の人脈を利用すること

 

とくにこの中で一番痛感したのは「3・4」です。

 

なにか論文などを書くなかで、本や資料などではどうしても限界になることがあります。

そこで教授が電話を一本してくれます。

 

「◆◆市役所の▽▽くん、うちの生徒がきみのとこの文化財の論文書いているんだ。色々教えてやってほしいんだけど」

 

市役所の人は即OK。

 

一般人じゃ無理ですよね。

 

まだ発掘調査中の史跡や出土物など見せてもらい、さらには史料もわけてもらえることとなり、わたしの卒業論文はこうして出来上がりました。

 

どこの世界でもそうですが「人と人とのつながり」ほど貴重なものはありません。

そこから色々生まれるのもまた事実です。

 

そして、なにかを成し遂げたいと思うならば「やり続ける」ことが必要です。

 

これを守れば絶対に学芸員になれる保証はまったくありません。

でも可能性を少しでも上げたいなら守るべきだとわたしは思います。

 

現実と理想の違いはあるかもしれませんが、「学芸員です」と名乗りたいのなら院に必ず行きましょう。

指示してくれる先生とは仲良くしましょう。

 

そこから何かひらけるかもしれませんよ!

学芸員じゃなくても~まとめ~

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まちこの希望は博物館や美術館で働く学芸員でした。

でも実は、学芸員の資格は博物館や美術館で働いたりするのに絶対に必要なものでもありません。

 

博物館などで仕事をしている人の何人がこの資格を持っているか知っていますか?

働いている人が10人いたら、その中の1~2人くらいだと思います。

 

学芸員として最初から博物館で働けるのはごく一部。

ほとんどの人は、市役所や県庁などのお役所から出向しているthe・公務員です。

 

学芸員の資格を取得する人の中には、将来文化財の保護の仕事をしたいと考えている人もいるかと思います。

 

では文化財の保護の仕事をするには公務員試験を受けなければならいのでしょうか。

 

いやいや、そうでもありません。

 

文化財の保護の仕事はとてもつもなく広い分野の知識と技術、人の力が必要です。

そこには年齢や性別、有資格などはまったく関係ありません。

 

昔は「学芸員」で博物館で働かなきゃダメなんだ!と思っていましたが、社会に出て経験値が増えると色々な見方が出来るようになるものです。

 

社会人になってから、学芸員の資格を振り返った記事も書いてますので、参考にしてみてください。

 

 

以上、「おらがまち」まちこでした。

 

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同志たちよ、いざ行かん!

 

*1:大学を卒業するともらえる学位です。院を卒業すると「修士」。論文を出して認められると「博士」がもらえます。